マウンティングが増えた理由は
序列意識の変化とプレイングマネージャーの増加

 それにしても、なぜ上司や部下、先輩や後輩といった序列の指標(あくまで指標で、絶対的な上下を決めるわけではない)がある職場で、マウンティング行為が起きるのか。それも、「上」の立場の人がやっている。

 大室氏は、「マウンティングは、自分の優位性に不安を感じる人が行う」と話す。ならば、どうして上司や年上の立場で不安を感じるのだろう。そこには2つの時代背景があるようだ。

 まず1つ目は、時代の中で「序列にまつわる意識や行動が変化してきたこと」だという。その意味を聞いてみよう。

「昔に比べ、組織における序列の意識は薄まってきました。かつては、いわゆる“体育会系”のような、先輩後輩、上司部下の序列が非常に厳しかったといえます。ですから、今よりもっとあからさまな序列の確認行為がありましたし、下の世代も『自分が下であること』を態度で示していました。お笑いコンビ『サバンナ』の高橋茂雄さんに代表される“太鼓持ち”の類です。その状況下なら、今のように“何気なく自分の優位を示す”マウンティングをする必要はありませんでした」

 しかし、価値観が変化し、今はそういった“体育会系”の序列は好まれない。「会社組織においてもフラットな関係性が求められています」と大室氏は言う。部下や後輩も、昔ほどへり下ったり「自分が下」だとは表現しない。

 つまり、かつてのように「先輩が絶対」「上司が絶対」といった風潮はなくなった。これ自体は良いことだが、序列があいまいになったために、さりげないマウンティングで日常的に優位性を示す人が増えてしまった。

 さらに大室氏は、2つ目の背景を挙げる。それは「プレイングマネージャーの増加」だ。

「以前よりもプレイングマネージャーが増えたことで、上司と部下の属性が近くなりました。かつては監督と選手の関係性が一般的だったのですが、今はキャプテンと選手のイメージに近いといえます。

 人間は、近い属性の人が多いほど、不安になります。そして、その中で優位性を示そうとします。プレイングマネージャーにとって、部下は属性が近いため、『自分の方がプレーヤーとしても有能だ』と優位性を示そうとするのです」