アメリカのデータでは、一般人口の2%、精神科外来患者の11%、入院患者の19%が、上記の診断規準に該当するらしい。患者は女性に多く、その頻度は男性の約4倍にも達するという。

 なんだか恐ろしいが、留意しなければならないのは、「この障害は、もともとある『性格』の障害ではない。つらいきっかけがあって、そういう状態になる。そして、誰よりも苦しんでいるのは、自分が逃れることができない本人だ」と、精神科の本には書いてある。

 響子さんも、それは理解できる。向こうから離れて行ったにもかかわらず、自分が見捨てたような気がして、今でも心が痛む。

「でも私は、あの子の肉親じゃないから、無理やりにでもなんとかしてあげるなんてことはできない。そんなパワーもないし」

 うなだれる響子さんに博樹さんは言った。

「お疲れさん、君は十分してあげたと思うよ。でもやれることには限界があるさ」

(医療ジャーナリスト 木原洋美)