2018年1月、「つみたてNISA」という制度がスタートしました。「つみたてNISA」は、国民に長期資産形成をうながす目的で金融庁の肝いりで始まった制度。NISA口座を開設して、一定の条件を満たす投資信託に「積み立て」で投資すると、20年間にわたり投資で得た収益が非課税になります。投資できるのは年間40万円まで。ビギナーでも安心して始められるシンプルな投資法です。とはいえ、どの投資信託を買ったらいいの?どの金融機関でやればいいの?など、いざ始めようと思っても、いろいろ迷ってしまいますよね……。そこで、本連載では、最新刊『つみたてNISAはこの7本を買いなさい』(ダイヤモンド社)を上梓した世界No.1投信評価会社トップの朝倉智也氏が、つみたてNISAとはどういう制度なのか、そのメリット、最強の資産形成法を賢く利用する方法等について、わかりやすく解説します。
投信の積み立ては、資産形成のために非常に優れた方法
2018年1月、「つみたてNISA」という新しい制度が始まりました。
みなさんの中には、つみたてNISAという言葉を耳にして「どんなものなのだろう」と興味を持ったり、「よい制度であれば活用してみたい」と考えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
ここで、断言しましょう。つみたてNISAはそんなみなさんの「味方」といえる素晴らしい制度です。
本連載をきっかけに積み立て投資を始めれば、10年後にはほぼ間違いなく、「あのときに思い切って始めておいてよかった」と言えるのではないかと思います。
詳しくは後述しますが、つみたてNISAというのは金融庁が肝いりで作り上げた制度です。
投資信託(投信)という金融商品の「積み立て投資」により、長期資産形成をするよう国民にうながすことを目的としています。つみたてNISAは、うまく活かせれば、だれでも無理なく簡単にお金を貯めて増やすことができ、将来に向けた資産形成を可能にする制度だといってもいいでしょう。
特に、これまで投資経験がない方、「将来に向けて少しでも資産を増やしていきたい」と考えている方にとって、つみたてNISAは投資を始めるのに非常によいきっかけになることは間違いありません。
私は、投資信託の中立的な評価機関であるモーニングスター株式会社の代表として、個人投資家の方や、これから投資を始めようとしている方に向けてさまざまな情報を発信しています。
これまで、投信の積み立てによる資産形成をテーマとした書籍を何冊も上梓してきました。
それは、投信の積み立てそのものにたくさんのメリットがあるからです。
まず、投信の積み立ては少額からスタートできます。投資や資産運用というのは、限られた「お金持ち」だけのものではなく、まとまったお金がなくても気軽に始められるものなのです。近年は、毎月100円からでも「投資生活」を始められるようになっています。
じっくり積み立てを続けることで「世界経済全体の成長の果実を得る」
また、日々忙しく、なかなか投資の勉強に時間が取れないという人でも、投信の積み立てなら勉強や情報収集の時間をかける必要がありません。
さらに、投信の積み立てなら「高く買いすぎた」といった投資にありがちな失敗をすることはありません。
「価格が下がったと思って買ったらもっと下がった」「上がると思って買ったのにぜんぜん値上がりしない」といったように、投資した商品の値動きに一喜一憂する必要もありません。
投信の積み立ての基本的な考え方は、じっくりと積み立てを続けて長期で保有し、「世界経済全体の成長の果実を得る」ことにあります。
これは、博打のように「勝った、負けた」が重要な「投機」の世界とは無縁の、より堅実で心穏やかな投資法なのです。積み立ての魅力やその威力については、あとでご紹介していきます。
いずれにしても、「投信の積み立ては資産形成のために非常に優れた方法」ということ、そして「つみたてNISAは、そのメリットを十分に活かせる制度だ」ということを、まずは知っていただければと思います。
本連載を読み終えるころには、きっと「すぐにつみたてNISAを始めたい!」という気持ちになっていることでしょう。
「鉄は熱いうちに打て」といいます。
読み終えて納得いただけた際には、ぜひ早急につみたてNISAをスタートしていただければと思います。その行動が、きっと読者のみなさんの将来をよりよいものにしてくれるはずです。
モーニングスター株式会社代表取締役社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。
銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、95年米国イリノイ大学経営学修士号取得(MBA)。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立および上場準備を担当。
98年モーニングスター株式会社設立に参画し、2004年より現職。
第三者投信評価機関の代表として、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努めるとともに、各上場企業には、戦略的IR(Investor Relations:インベスター・リレーションズ)のサポートも行っている。他にSBIグループ各社の重要な役員を兼任する。
著書に『〈新版〉投資信託選びでいちばん知りたいこと』『一生モノのファイナンス入門』『ETFはこの7本を買いなさい』(以上、ダイヤモンド社)、『マイナス金利にも負けない究極の分散投資術』(朝日新聞出版)、『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社)などがある。