ギリシャの債務問題をめぐる民間債権者との債務減免交渉(PSI:Private Sector Involvement)が難航している。当初1月半ばにも妥結するとされていた交渉だが、いまだに着地点を見い出せずにいる。

 ギリシャは、3月20日に145億ユーロの国債償還を迎える。自力での資金調達は不可能であり、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)の支援なしには乗り切れない。

 しかし、3月から始まる予定の第2次支援は、PSIが前提となっており、交渉がまとまらないことには支援は実行できないのだ。

 交渉難航の理由の一つとして挙げられているのが、交換後の債券の金利の問題だ。

 昨年12月の時点で、額面の債務を50%カットすることはすでに合意しているのだが、ギリシャの景況悪化で、これでは「2020年までに債務残高の国内総生産(GDP)比120%」という当初の計画は達成できないことが明らかになった。そこで、交換して発行する債券の金利を下げることで、さらなる債務カットを行おうというものだ。

 民間債権者側は4%以上、ギリシャおよびEU、IMFは3%台を主張しているとされるが、BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストによれば、現在、「利率3.6%、正味現在価値で69~72%の債務減免に、ギリシャ経済がよくなれば利率が上がるというGDP連動のオプションを付ける案も浮上している」という。

 市場関係者のあいだでは、じつは揉めているのは金利以外の点だという見方が少なくない。

 焦点となっているのが、欧州中央銀行(ECB)や独仏をはじめとする欧州各国の中央銀行といった、公的部門の取り扱いだ。

 これらも、民間の金融機関と同様に、ギリシャ国債を保有している。民間債権者側からすれば、「なぜ自分たちだけが負担を求められるのか」と不満が生じるのは当然だ。この点から、一部のヘッジファンドが抵抗しているほか、民間扱いされ債務減免交渉に引き込まれたアジアの中銀が強硬に反対している、との話もある。