今年4月、住友信託銀行など傘下の銀行3行が合併し、いよいよ三井住友信託銀行が始動する。今後の課題や戦略展開などを聞いた。

三井住友トラスト・ホールディングス会長 常陰 均<br />人材育成の積極化で目指す<br />専業信託、独自の価値提供Photo by Masato Kato

──旧行意識はまだあるか。

 旧行には慣れ親しんだ意識があるが、統合作業を進めるなかで、それぞれには意外に違いはないと感じた。商業銀行と違い、いろいろ工夫を重ねて初めて取引が獲得できる信託銀行という銀行同士、いかにお客様に近づくかをまず考えるという“仕事の出発点”が共有できるからだろう。

──とはいえ法人向け中心の住友信託と個人向け(リテール)中心の旧中央三井トラスト・ホールディングスでは差を埋めるのが大変なのではないか。

 それほどでもない。人員配置上の違いはあるが、お互い法人も個人もやっており、事業のあり方に違いがあるわけではないからだ。

 そういう意味で、考えられる組み合わせのなかで最も近いもの同士の統合だった。まったく新しいことをやる必要が生まれるわけでもなし。研修でお互いの店に行って戸惑っている人もいるが、「冷静に考えたらそんなたいしたことないでしょ」と言うと、「そう言われれば確かに」となる。