段階的な適度なストレス負荷でストレスに強くなる

 そして、忘れてはならないのが、日常的なマインドフルネスのトレーニングです。

 ストレス状況下でのマインドフルネスは、いかに普段から「今」に没頭するための脳づくりができているかが重要になってきます。

 ぜひとも、安静状態でのマインドフルネスと、ストレス下でのマインドフルネスのトレーニングを1つのセットとして取り組んでみてください。

 タイムプレッシャーという頑張る系ストレスを味方につけることができれば、仕事の質と量は格段に上がっていくことでしょう。

 これは、「最強のメンタル」のコンセプトである、いかなる状況でも一定のパフォーマンスを発揮するという能力でもあります。

 本格的な頑張る系ストレスのトレーニングを行う場合は、身体に生体計測機器を取りつけ、実際に心身の状態を可視化しながら、様々なタスクを制限時間内に行います。

 具体的には、テトリスなどのゲームを行いながら、発汗や心拍、筋緊張などの生理状態が適正範囲から外れないように注意します。

 例えば、発汗量が基準値を超えると音が鳴るように設定し、音が鳴らないようにしながらパフォーマンスを高めるように努めます。

 段階的に制限時間を縮めたり、高い目標をクリアするように指示したりすることで、ストレスレベルを上げていきます。ストレスが加わることで、いかに「今」に集中することが困難なことか、ということに気づかされるでしょう。

 しかし、これが実際の競技現場やビジネス現場なのです。

 ただ、段階的に適度なストレス負荷を与えていくことで、次第にこうした状況でも「今」に集中できるようになっていきます。

 これがストレスに対する適応現象なのです。

 次回の連載では、もう1つのストレス、「我慢系ストレス」について解説していきたいと思います。