本連載では、話題の新刊『最先端科学×マインドフルネスで実現する 最強のメンタル』の内容から、エビデンスに基づいた最新科学の知見をもとに、現代人が抱える2大メンタル問題「ストレス」と「プレッシャー」を克服し、常に安定して高いパフォーマンスを発揮するための方法をお伝えしていく。

自律神経を最適化して「ゾーン」を引き出す!

 ゾーンはリラックスと集中のバランスが取れた絶妙な状態ですから、自律神経においては、緊張モードの交感神経とリラックスモードの副交感神経のバランスが整った状態といえます。

 実際、自律神経バランスを整える呼吸法を行うと、自律神経バランスが整った状態を示す値(LF成分)の増加と共にハイベータ波が低下し、アルファ波やSMR波などの脳波の周波数成分が高まるのが確認できます。

 体内の呼吸中枢や肺の伸展受容器の影響から、交感神経は息を吸った時に活性化し、副交感神経は息を吐いた時に活性化します。

 つまり、吸う長さと吐く長さを同じにすれば、自律神経バランスは整っていきます。

 とにかくリラックスしたい場合や、大事なイベントの前日になかなか寝つけない方は、「4秒で吸って8秒で吐く」のように、吐く時間を長くしてあげれば、副交感神経が優位になり、生理学的に眠りやすい状態になります。

 また、この1:2の比率での呼吸法は、深い瞑想状態に入りたい場合や、イメージトレーニングを行う際にも効果的です。

何秒で吸って、何秒で吐けば、自律神経のバランスは整うのか?

 近年、科学技術の進展により、自律神経の活動が可視化できるようになりました。そして、心拍の周期変動の観点から、交感神経と副交感神経はそれぞれ異なる周波数領域に分類されることが明らかになりました。

 具体的には、交感神経は低い周波数領域(VLF:Very Low Frequency:0,0033~0,04HZ)、副交感神経は高い周波数領域(HF:High Frequency:0,15~0,4Hz)に分類されます。

 つまり、この交感神経と副交感神経の間の周波数領域(0,04~0,15Hz)は、両方の成分が混じった中間領域ということになります。交感神経を夏に、副交感神経を冬に例えれば、この中間領域は春や秋といったところでしょうか。

 この中間領域のことを専門的には、「Low Frequency(以下LF)」と呼びます。

 LF領域は、交感神経と副交感神経にまたがった領域に位置するため、別の言い方をすれば、この領域は自律神経バランスが整った領域であるということになります。

 少し難解な専門用語が続きましたが、どうして、このようなことをわざわざご説明したかといいますと、一体、何秒で吸って、何秒で吐けば、自律神経のバランスは整うのか?というテーマに移りたかったからなのです。

 冒頭で、吸う長さと吐く長さを同じにすれば自律神経バランスは整うということをお伝えしました。しかし、これだけでは具体的な呼吸ペースがわかりません。

 そこで、その呼吸ペースの指標となるのが、LF領域の周波数なのです。LF領域は、約10秒に1回(0,1Hz)の周波数成分で構成されています。(Hz:ヘルツとは、1秒間あたりの振動回数を表す周波数の単位)

 つまり、5~6秒で吸って5~6秒で吐く呼吸ペースにより、LF領域のパワーが増加し、自律神経バランスが整っていくというわけなのです。

 上の図表をご覧ください。このグラフは、1分間の安静のあと、5分間呼吸法を実施し、その後再び1分間安静にした、計7分間の各周波数領域のサンプルデータです。

 呼吸法開始後にLF成分が高まり、呼吸法終了と共にLF成分が低下していくのをご確認いただけると思います。