2月の株価急落は
トランプ財政が原因だった

 米経済は、09年6月に景気の底をつけてから、既に9年目を迎えています。いわゆる景気拡大後期に入っていると見られ、通常ならば次の景気後退に備えたいところです。金融政策であれば、政策金利を一定以上に引き上げて、できるだけ将来の利下げの余地を確保したいでしょう。今のFRBの利上げは、景気がいい時に必要以上の金融緩和を行わないようにするための金融政策の正常化の意味合いに加え、将来への備えを行っていると言えます。

 財政政策の観点でも、同様のことが考えられます。つまり、経済の調子がいい時にできるだけ財政を健全化し、次の景気後退期に財政支出を増やせるようにすることが望まれます。

 ところが、これを狂わせるのがトランプ政権です。トランプ政権は、昨年末に大幅減税を決定したため、これによって財政赤字の拡大が想定されています。また、米議会は、今年2月に入ってから歳出上限の引き上げを合意しました。これにより米国の財政赤字は、大きく拡大する可能性があります。また、経済がほぼ完全雇用の状況で財政刺激を行い、景気が過熱すれば、賃金が上昇しインフレが高まり、FRBが利上げを急ぐ状況になりかねません。

 2月の長期金利の上昇と株式の急落は、こういったリスクを相場が敏感にかぎ取ったために起きたと考えることができます。

 もちろん、減税やインフラ投資などの税制支出の拡大によって、企業が事業環境の改善を感じ取って積極的に設備投資を行い、結果として生産性が高まって、賃金を上げてもインフレにもつながらず、コスト増による利益の圧縮にもつながらない…という可能性はゼロではありません。

 マクロ経済の教科書的な見方をすると、総供給曲線が右にシフトすることによって、低い物価と、より大きい経済水準を達成する可能性もあります。したがって、現時点ではトランプ財政はダメだと決めつけることはできません。企業がお金を生産性の向上に使うかどうかを注意深く見ていく必要があります。