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気はやさしくて胃痛持ち
【第3回】 2012年2月15日
著者・コラム紹介バックナンバー
市川純子 [(財)日本ヘルスケアニュートリケア研究所]

上司の指示でツイッターをはじめ、
スマホから目が離せなくなったマーケッター

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 Fさんの会社は中堅の化粧品会社だ。7年前にテレビの通販番組で取り上げられた美白化粧水が大ヒットして以来、通信販売に力を入れるようになっていた。特にここ数年は自社のインターネットサイトでの販売を強化していた。美白化粧水に次ぐ、ヒット商品の開発もFさんに課せられている。

 いつも社長から言われる。「商品開発にお客様の意見をもっと取り入れていこう」「お客様と直接話せる機会をもとう」。社長の意見はもっともだと思うが、お客様相談室で電話を受けている時間などないし、「男である自分は、ユーザーと直接話さないほうがよいのでは」と思っていた。

 「お客様と直接話そう」。社長から言われるたびにFさんは胃の痛みをおぼえていた。

大手では味わえない充実感
母親の支えに感謝する日々

 大学の薬学部を出て、大手化粧品会社の研究所にいるときに、ヘッドハンティングされて、今の会社にきた。前の会社は組織が大きく、新製品の企画を自分一人でやるなんて思いもよらなかった。今は責任は重いが、任されている実感があって仕事はかなり楽しかった。

 Fさんの部署は、販促ブランの提案、ホームページの運用、お客様相談室、そして商品開発まで担当する。やることが多くて、帰るのは毎日終電。テレビの通販番組の生本番の立会いなどがあれば、タクシーで明け方に帰ることもある。

 遅くに自宅に帰っても母親は必ず起きて待っていてくれた。競合の通販会社の商品の研究のために、母親は自分の名義でいろんな会社にサンプルを請求して仕事に協力してくれていた。通販会社から届く荷物や郵便物は全てダイニングテーブルの上に置かれている。母親は必ず丁寧に報告してくれる。「今日の昼間に○○社から電話がきたよ。サンプルのアンケートに答えてくれって」

 通販の化粧品会社は、有償サンプルといわれる求めやすい価格のトラアイルセットを作り、それをいかに効率よく配布して、購買につなげるか、その方法を常に模索しているのだ。他社を研究するのもFさんの仕事だ。この「研究」に協力してくれている母親には感謝している。

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市川純子 [(財)日本ヘルスケアニュートリケア研究所]

1961年生まれ。財団法人日本ヘルスケアニュートリケア研究所 所長。広告代理店で大手私鉄の広報を担当。その後PR会社に転職し、医薬品や化粧品分野に携わる。2003 年にJ&Tプランニングを設立。代表取締役に就任。研究や情報の開発も行いヒット商品を数多く手がける。医療健康美容分野の研究のために2010年財団を設立。


気はやさしくて胃痛持ち

失われた20年と呼ばれる日本経済。そんな長い停滞のなかをがむしゃらに、ひたむきに日々の仕事・生活を生きてきたビジネスマンたち。さまざまなストレスに耐えてきたカラダもそろそろ注意信号を出す頃。いろんな職場のいろんなビジネスマンのいろんな悩みと不調を少し悲しく少しおかしく紹介します。

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