この間に、製造や営業活動でサービスを販売することにかかる中間コストにあたる売上原価比率は、78.0%から79.1%へと上昇した。

 これは、原価の上昇の影響を打ち消すためのしわ寄せが、人件費の抑制に集中したと言える。

「13年~現在」は原価抑制
高収益、働き手には回らず

 一方、後期の今回の景気拡大局面では、人件費率は前期に比べるとさほど下がっていないのに対し、売上原価比率が低下しており、これが利益率の向上に貢献する構図になっている。

 人件費の売上高比率が前期ほど下がらなくなったことについては、人件費がこれ以上に下げることができない限界まで下がった結果、横ばいにとどまったともいえるだろうし、パートなどで働く女性が増え、産業全体でみた働き手が増えていることが、売上高に対する人件費が以前ほど下がらなくなった理由ともいえる。

 一方で、原価率が下がったのはなぜだろうか。

 好景気では、材料や部品の値段が上がることで、売上原価率は上昇するというのが一般的な理解かもしれない。

 だが、仕入れる側の企業の(引き下げ方向での)価格交渉力が強まったり、(好景気でも)商品市況など外部環境の変化で、いわゆる川上部門の価格が下落基調にあるときには、原価率は下がり得る。

 また、製造業では自社の生産ラインで部品や材料を製造・調達することで中間コストを抑えたり、小売業であればインターネット販売にシフトして店舗を持つコストを減らしたり、営業・サービス部門の一部を外注したりすることなどでも起こり得る。

 だが今回の景気拡大局面で原価率が下がっているのは、過去の例に見たように、親会社が子会社や関連企業に対して納入する部品の価格引き下げを強化しているというより、市場構造の変化を少なからず反映したものだと考えられる。

 近年、デジタル革命やロボティックス、AI技術の導入など、生産性向上に向けた企業の行動は幅が広がってきている。

 こうした先進的な技術とそれを実現させる設備投資の増加や、不採算部門を積極的に圧縮したり外注化したりするといったスクラップ・アンド・ビルドを進め、その結果、売上原価率の抑制と利益率の改善を実現させていると見える。