創業100年を迎えたパナソニックで家電事業への再挑戦が始まるパナソニックの家電ビジョン記者会見で発表された提携先企業の面々。(左から) 西川産業の西川八一行社長、パナソニック 専務執行役員 アプライアンス社の本間哲朗社長、NTTドコモの古川浩司取締役常務執行役員、BeeEdgeの春田真社長

パナソニックは3月1日、家電事業における新たなビジョンを発表し、これまでの家庭内を対象とした「HOME」の捉え方を見直し、家電と家電をつないだり、家電と社会をつなりだりすることで、より幅広い範囲を「HOME」に捉えた新たな製品やサービスを提供していく考えを示した。

再び家電を“憧れの存在”へ

 同社が新たに掲げた家電ビジョンは、「Designing Your Lifestyle from Home(HOMEから生まれる新しいくらしの喜びで)」。

 パナソニック 専務執行役員 アプライアンス社の本間哲朗社長は、「これまでは、壁と屋根に囲まれた『家』をHOME(ホーム)と捉えていたが、これからはコミュニティやソサエティとつながることで、暮らしや人生に新たな喜びをもたらす存在にHOMEが進化し、それを新たなHOMEの概念とする。家のなかに留まらず、心が安らげ、大切な人と過ごすことができる場所をHOMEと定義し、新たなHOMEの世界に寄り添いながら、暮らしの憧れを届けることが、私たちが次に目指す姿となる。『これでいい』という商品ではなく、『これが欲しい』と思ってもらう商品を作る」などと述べた。

 パナソニックは、2015年に、「ASPIRE TO MORE(くらしにもっと憧れを)」という家電の事業理念を掲げており、今回発表したビジョンは、これを実現する方向性を示すものとし、同時に、2018年3月7日に創業100周年を迎えるパナソニックを支え続けてきた家電事業における新たなビジョンに位置づける。

 パナソニック アプライアンス社の本間社長は、「いまから30年前の家電は憧れの存在であった。パナソニックのアプライアンス社は、なにを作っている会社なのかと聞かれれば、私は『憧れを作っている会社』だと答えたい。日本の家電メーカーから、世界の暮らしに寄り添う家電メーカーになったパナソニックは、これからも、暮らしの憧れを作り出し、世界の人々に届けていくことが、未来に向けた仕事であると信じている。パナソニックの100年の歴史のなかで、家電は常に事業の中心にあった。パナソニックは、これからの100年も家電事業を通じて新たな喜びを灯す存在になりたい」と述べた。

 現在、パナソニックの家電事業は、全世界100拠点で、7万1000人以上の社員が従事。中国やインド、アジア/アセアニアでは、各地域の食生活や嗜好にあわせて最適化した製品を投入。日本では調理家電を製品群として提案する「おいしい7days」、中国では、ダイニングとキッチンの空間全体で新たな価値提案を行う「軽厨房」などがあり、「世界の各拠点で暮らしの憧れを作っている」と胸を張る。