IBMの変革への取り組みが、1つの転換点に到達した。米IBMは、2012年に、ジニー・ロメッティ氏が会長兼CEOに就いてから、「コグニティブソリューションとクラウドプラットフォームの企業」へとトランスフォーメーションするなか、2017年度第4四半期(2017年10~12月)の業績で、実に、23四半期ぶりの増収となったからだ。
増収への転換は、痛みを伴った構造改革の取り組みが一定の成果を挙げ、長いトンネルからの脱却を意味するものともいえるだろう。いわば、IBMは、コグニティブとクラウドに対して、さらにアクセルを踏むことができる体制が整ったともいえる。ひと足先に増収基調へと戻っている日本IBMも、それは同様だ。2017年4月に、日本IBMの社長に就任してから、まもなく1年を経過するエリー・キーナン社長に、いまのIBMと日本における取組について聞いた。
コグニティブとクラウドの会社として
事業転換に成功
キーナン社長は、開口一番「IBMは、一言で言えば、コグニティブソリューションとクラウドプラットフォームを提供する企業だといえる」と切り出した。この言葉は、2012年に、米IBMの会長兼CEOに就いたジニー・ロメッティ氏が打ち出したものと同じである。
キーナン社長は、「IBMは、クラウドやアナリティクス、AI、セキュリティ、IoTといった領域にフォーカスし、それに関わる能力をお客様向けの製品やサービスとして提供し、さらに、その成果をソリューションとして進化させている。お客様のイノベーションを支援する会社であり、そのために最高のサービスととともに、イノベーションを起こせる最高の人材を確保するために投資を継続してきた」と語る。
オンプレミスによる大規模システムをビジネスの中核に据えてきたIBMが、コグニティブソリューションとクラウドプラットフォームの会社へと、体質を大きく転換するのに時間がかかるのは当然だ。22四半期連続での減収は、その苦しみを裏付けるものだったといえる。
日本市場を担当する日本IBMは、米本社よりもひと足早く、2017年第2四半期(2017年4~6月)に成長軌道へと戻り、第3四半期(2017年7~9月)、第4四半期(2017年10~12月)と、四半期ごとに事業成長を加速しているという。
2017年に創業80周年を迎えた日本IBMは、節目の年に成長軌道へと転換することができた。そして、増収への転換は、IBMの体質が、名実ともに、コグニティブソリューションとクラウドプラットフォームの会社になったことを意味するといえよう。