アメリカで運用するのに円建てで
「元本確保、配当6~8%」はあり得ない

投資で大損する3つの典型は「うまい話、高金利、お勧め商品」

 3月3日付け日本経済新聞朝刊社会面の『MRI資金消失 和解へ~日米で訴訟、弁護団「苦渋の決断」』という小さな記事が目に入った。これは、MRIインターナショナルというアメリカの資産運用会社による投資詐欺事件の、事実上の収束を意味する。

 日本人顧客を対象に投資(出資)を募り、その見返りに「元本は確保、配当は年6~8%」を約束していたが、2013年に資金の大半を消失させた疑いが発覚。財務局にも虚偽の事業報告書を提出していたことから、被害弁護団が結成され、同社社長を詐欺罪で刑事告訴し、出資金の返還を求める訴訟が続いていた。

 実は、知人の何人かがMRIに出資していたので、記事を読むと彼らの顔が思い浮かび、どんよりした気持ちになった。和解をもって減った資金が分配されると、知人が出資したお金はどの程度戻ってくるのだろう。大きな損でなければいいと願うばかりだ。

 私がMRIを知ったのは、20年近く前。会社勤めをしていたときの上司から「FPになったのなら、これどう思う?」と経済誌を見せられた。今でもよく覚えているのだが、それは広告記事だけれども、編集部が作った著名人のインタビュー記事の下の囲みで、一見すると広告ではなく編集記事の一部に見える巧妙なデザインとなっていた。

 その当時は、FPになって5年も経っていなかったのだが、駆け出しの私でさえ「投資すべきではないと思う」と助言するくらい突っ込みどころが満載だった。まず投資なのに「元本確保、年6~8%の配当を約束」というのがあり得ない。

「やめた方がいいですよ」と言ったところ、すでに資料請求していたようでカバンからパンフレットを出し、商品スペックを見せられた。