日本にやって来る外国人留学生の約4割を占める中国人留学生。前回(「中国人学生『カネ・コネなしの中間層』が日本を目指す理由」)は向上心旺盛な学生たちをご紹介したが、今回は近年とみに増えている、「遊学」しに来た学生たちをご紹介する。(清談社 金城陽子)
苦学生は減り、遊学目的が増加
“なんとなく”日本に留学にくる中国人
「留学人30万人計画」と銘打ち、日本政府が留学生の受け入れ強化に言及してから約10年。日本学生支援機構の調査によると、昨年5月時点で留学生の数は26万7042人となっている。中でもダントツで多いのが中国人留学生だ。
かつて、中国からの留学生といえば、バイトをして生活を切り詰めながら、大学に進学する「苦学生」というイメージが強かったかもしれない。だが中国の経済発展とともに、留学生の金銭感覚も変わってきている。特に近年、増えているのは、大きな目的意識を持たず、「遊学」しに来た学生たちだ。
現在、関東の国立大学の修士課程で学ぶ林さん(仮名:24歳女性)が、日本に留学した理由は、「中国の大学の日本語学科で日本語を学んでいたから」だ。
ちなみに、中国の大学では、学生が学科を選択する時のシステムが日本とはやや異なっている。中国の受験生は、最初に行きたい大学を決めて、合格が決まったあとに学科を選択する。点数が高ければ高いほど、学科の選択範囲が広がっていく仕組みだ。日本のように最初から「〇〇大学の××学部」を受験するわけではない。
林さんは、福建省の国立大学を卒業したが、もともとは日本語を学ぶつもりはなかったと話す。
「入学時、どうして日本語を選んだのか、今となってはまったく思い出せません。恐らく、本当にその時の気分でランダムに選んだだけだと思います。もし、あの時選んだのがドイツ語だったら、今ごろはドイツに留学していたのかも」