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スマートフォンの理想と現実

音楽配信はすでにピークアウト。曲がり角にさしかかったケータイコンテンツ産業の明日はどっちだ

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第18回】 2012年2月23日
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音楽配信サービスの
ピークアウト

 そんなことを思い出したのは、ケータイとコンテンツに関するいくつかのニュースに触れたからだ。

 一つは、一般社団法人日本レコード協会が発表した、2011年の音楽配信売上高。同協会によれば、前年比16%減の719.6億円となった。2010年も前年比で微減しており、現状のトレンドとしては、日本の音楽配信市場は2009年にピークアウトしたことになる。

 内訳をみると、インターネットダウンロードは軒並み前年比124%と増加傾向にあるものの、その5倍近い売上規模を誇る主力のモバイル向けは同78%の583.4億円と大きく落ち込んでいる。特に「着うた」(同協会の区分上はRingtune)は同65%、「着うたフル」(同区分ではシングルトラック)では同79%と、落ち込みが大きい。

 着信音の楽曲サービスである「着うた」の減少は、端末が変わりつつあることを示唆している。その反対に端末の影響を受けない呼び出し音の音楽サービス(待ちうた/メロディコール、同協会の区分上はRingback tunes)の減少幅が前年比85%と小さいことからも、それはうかがえる。

 音楽配信サービスといえば、日本のケータイ産業で最も成功したコンテンツ分野の一つである。AppleのiTunesが日本で伸び悩んだ一因に、着うたフルのサービス環境が整備されていたことが挙げられるほど、端末とコンテンツラインナップの両面で堅牢なビジネスを進めていた。冒頭の8年前のコンサルタント氏も、音楽配信については確か「有望そのもの」と考えていたはずだ。

 また、音楽産業側の観点からも、その影響力は拡大していた。気がつけば、巷の音楽ランキングの集計単位が、CD等のパッケージメディアの出荷数から音楽配信の規模に移行していたことからも、そのことはうかがえる。

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クロサカタツヤ
[株式会社 企(くわだて)代表取締役、慶應義塾大学特任准教授]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。16年より慶應大学大学院政策・メディア研究科特任准教授。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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