ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
スマートフォンの理想と現実

音楽配信はすでにピークアウト。曲がり角にさしかかったケータイコンテンツ産業の明日はどっちだ

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第18回】 2012年2月23日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
4
nextpage

 それでも、ケータイコンテンツビジネスの一角が、スマートフォン移行にキャッチアップできずに崩れてしまったという事実は、音楽産業のみならず様々な産業分野にも、少なからずインパクトを与えているはずだ。

 たとえば、今をときめくソーシャルゲームに関する調査結果がシード・プランニング社から先日発表された。そのうち年代別課金率を見ると、たとえばモバゲーの場合、20代では約20%なのに対し、30代で25%弱、40代で30%弱と、総じて年齢が上昇するほど高くなる傾向がある。

 一方、スマートフォンの移行状況は、反対に年齢が上がるほど移行状況が低下する傾向が現状で見られることが分かっている。30代以上はまだ全体ではフィーチャーフォンの方がマジョリティといえるくらいのボリュームがある。

 両者を重ねてみると、ソーシャルゲームにお金を払っている消費者はフィーチャーフォンを利用している傾向がある可能性がある、ということになる。そしてもしそれが妥当だとすると、こうした30代以上の消費者がスマートフォンに移行すると、現状のような課金ベースのビジネスモデルは頭打ちということになりかねない。

 もちろんこれは、いくつか考えられる仮説を組み合わせた、想像に過ぎない。しかし、フィーチャーフォンとスマートフォンの利用環境の違いを考えれば、まるでない話とも言い切れない。そしてソーシャルゲームは音楽以上にケータイに依存している産業である以上、今年から来年にかけて控えているスマートフォン普及の本格化が、同産業にどのような影響を及ぼすか、まだ誰も分からないというのが実態であろう。

次は何が来る?

 ケータイコンテンツ産業は、スマートフォンでどのように変化するのか。スマートフォン普及が本格化しているとはいえ、絶対数で言えば普及拡大はこれからが本番である。普及曲線通りに進展するかは分からないが、理論的には国内市場は、今年から来年が普及のピークを迎え、2015-6年頃に概ね飽和、つまり概ねスマートフォンへの移行が完了することになる。

previous page
4
nextpage
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

クロサカタツヤ
[株式会社 企(くわだて)代表取締役、慶應義塾大学特任准教授]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。16年より慶應大学大学院政策・メディア研究科特任准教授。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

「スマートフォンの理想と現実」

⇒バックナンバー一覧