東京スカイツリーに続けとばかり、東京湾岸エリアでも新名所がお目見えし、2月12日に開通した。その名も「東京ゲートブリッジ」。まるで2頭の恐竜が向き合うようなダイナミックなデザインが目を引く。
これに先駆けて4日には、ランニングとサイクリングの記念イベントが行なわれ、約7000名が参加した。片側2車線の車道と約1.6kmの歩道が整備されているが、歩道からは都心の高層ビル群や、晴れた日には富士山までを望めるという。
東京ゲートブリッジは、江東区・若洲海浜公園と大田区・城南島を結ぶ全長2618m、海水面からの高さは最大87.8mの首都圏最大級の橋である。主橋梁部に使用されている鉄骨の量は約2万トンで、実に東京タワーの4倍分にもなるという。そこで、橋桁の荷重を分散する「トラス構造」が採用されているのも特筆すべき点だ。
着工したのは2003年。実に9年もの歳月と総工費約1150億円(事業費は東京都と国土交通省)をかけて完成するわけだが、そもそもの建設の目的は、臨海副都心の交通の混雑を緩和するため。東京港のコンテナ輸送は増加の一途を辿り、同時に物流も混雑する傾向にあったが、その解消が見込まれている。
開通後は、車の交通量も1日約3万2000台と試算されているが、これにより青海縦貫道路の交通量が約3割低減、さらには、首都高湾岸線・新木場ICから羽田空港までの所要時間が約9分短縮されることなどから、年間200~300億円もの経済効果が見込まれているという(社団法人日本橋梁建設協会調べ)。
さて、この「東京ゲートブリッジ」という名称、1万2223件の一般公募の中から選ばれたもので、2010年11月に国土交通省 関東整備局 東京港湾事務所にて当選者への表彰式が行なわれた。この名の通り、まさしく東京港という東京の表玄関にふさわしいロケーションであり、未来に向かって開く明るいイメージを醸成している。
同時に、東京ゲートブリッジは、太陽光発電システムを導入し、夜間はLED照明でライトアップを行なうが、環境にも配慮した先進的な橋梁として、シンボリックな存在にもなるであろう。先の震災や経済の停滞など厳しいニュースも多い昨今ではあるが、東京の未来を明るく照らす象徴になって欲しい――。そんな期待を抱かずにはいられない。
(田島 薫/5時から作家塾(R))