今後5年間の金融政策の舵取りを担う日銀の新執行部は、再任された黒田東彦総裁をトップに、日銀生え抜きの雨宮正佳、「リフレ派」の学者、若田部昌澄両副総裁の体制で今月中旬からスタートする。当面は「異次元緩和の維持」を掲げるとしても、最大の課題は、「金利ゼロ」からの正常化のレールをどう敷くかだが、「ゴール」までには10年あまりかかる見通しだ。そもそも20年近くに及ぶ「金利ゼロの資本主義」を生み出したものは何だったのか。金利のつかない資本主義とは何を意味するのか。DOL特集「金利ゼロの資本主義」第1回目は、ポピュリズム政治との関係を考える。(ダイヤモンド・オンライン特任編集委員 西井泰之)
再任の黒田総裁の「憂鬱」
政治に追い込まれた日銀の過去
1月4日、日銀本店内の役員食堂は、あちらこちらで談笑の輪ができた。この日、催されていたのは、総裁以下、新旧の政策委員や局長クラス以上の幹部が集まって開かれた「互礼会」と呼ばれる新年会。黒田東彦総裁になって5回目を数えていた。