英語を勉強しているが、英会話の上達を実感できない――そんな人に試してほしい1冊が『中学英語だけで面白いほど話せる!見たまま秒で言う英会話』だ。「イラストを見る→見たままを英語にする」を繰り返すことで、日本語を介さず瞬時に答える「英語の反射神経」を鍛えることができる。本稿では、著者の森秀夫さん(麗澤大学外国語学部教授)に「英語を話せるようになるための学習のポイント」を教えてもらった。

英語が「勉強で終わる人」と「話せる人」を分ける、たった1つの視点Photo: Adobe Stock

英語学習で軽視されがちな、「言葉の下」にある文脈

「文化は氷山のようなものだ」という言葉を知っていますか? 1970年代に、人類学者のエドワード・T・ホールが唱えた考え方です。

 氷山を想像してみてください。海の上に見えているのは、実は全体のたった10%ほど。そこには、その国の音楽、ファッション、食べ物など、私たちが「目に見えるもの」が含まれます。

 しかし、残りの90%は深い海の中に隠れています。そこには、その国の人たちが大切にしている「価値観」「考え方」、あるいは「時間の捉え方」などが詰まっています。

 これは英語学習にもそっくり当てはまります。私たちが学校の授業やテストで学ぶ単語、文法、発音は、いわば「氷山の見えている部分」です。でも、その下には、なぜその言葉を選ぶのかという背景や、感情の伝え方、さらには「沈黙」にどんな意味があるのかといった、目に見えない広大な世界が広がっています。

 異文化の人とコミュニケーションをとる時、実は「見えている部分」の違いはそれほど問題になりません。「変わった料理だな」と楽しむことさえできます。

 本当に問題になるのは「隠れている部分」の違いです。自分では正しい英語を話しているつもりでも、文化の違いを知らないと、知らず知らずのうちに相手を傷つけたり、「失礼な人だ」と思われたりすることがあるのです。

 例えば、誘いを断る時。日本では「ちょっと予定が……」と曖昧にするのが丁寧だとされますが、英語圏でははっきりと“No, I can't.”と言う方が誠実だと受けとられる場面が多くあります。この違いを知らずに日本の感覚のまま英語を話すと、コミュニケーションがうまくいかない「衝突」が起きてしまいます。

 私たちは誰でも、自分の育った文化という「色メガネ」をかけて世界を見ています。そのメガネを完全に外すことはできませんが、「なぜ相手はこう考えるのだろう?」と好奇心を持つことで、メガネの色を少しずつ薄くすることはできます。

 英語を「話せるようになる」ためには、実は2つの柱があります。

(1)「言語の柱」:単語や文法を学び、使いこなす力

(2)「文化の柱」:相手の考え方や背景を理解しようとする心

 この2つが揃ったとき、英語はただの「勉強の科目」から、心と心をつなぐ「橋」に変わります。

 言葉の向こう側にある世界を覗こうとするワクワクした気持ちが、あなたの英語をより豊かに、そして魅力的なものにしてくれるはずです。