本当に何かを実現したいのであれば、微々たる迷いをも許してはならない(写真はイメージです)

要約者レビュー

 あなたは、「私は今幸せだ」と一寸の曇りもなく言えるだろうか。闘志を燃やして人生を生きているだろうか。日本にいるのであれば、住むところもあり、食べるものは豊富で、欲しいものはたいてい手に入る。恵まれた国で不平不満などを口にはしていないだろうか。

『活きる力』
稲盛和夫、 256ページ、プレジデント社、1600円(税別)

 もし、自分の人生に少しでも迷いや不安があるのであれば、今すぐに本書を手にすることを心からおすすめする。巷には、自己啓発本というのはあり余るほどある。しかし、「誰の言葉を聞くのか?」ということは何よりも重要だ。その点で本書『活きる力』の著者は格が違う。

 著者は日本が誇る実業家、稲盛和夫氏である。京都セラミック(京セラ)の設立、KDDIの設立、そして当時の内閣総理大臣直々の要請で、日本航空(JAL)の再建まで成功させた人物だ。『生き方』や『働き方』など、著者がこれまでに上梓した書籍は発行部数累計1000万部を突破している。

 今回のテーマは「活きる力」だ。あまりにも豊かで恵まれた時代に生きているがゆえに、闘争心やハングリー精神を持てずにいる人々を励まそうという著者の「思い」が込められている。事を成すには強い信念が必要だということ、利他の心を育むことの大切さ、道を切り開くための心得、その教えの全てが、著者が自身の人生を通して学んだことであり、守ってきたことだ。だからこそ、読者の胸にも響く。

 ビジネスパーソンとして、またひとりの人間として、胸に刻むべきことが本書には詰まっている。人生の成功とは何か、その本質を確かめていただきたい。

本書の要点

(1) 心の中に抱く「思い」は人の運命を作る。多くの人々が大切だと信じる「考える」ことよりも、「思う」ことの方がはるかに大事である。

(2) 人間の心には自分勝手で利己的な心と、人を思いやる利他的な心がある。利他的な心を養うには、絶え間ない「心の手入れと整理」が必要だ。

(3) 「思い」は必ず実現する。ただし、「思い」は「信念」や「胆識」とも呼べるほど強烈なものにしなければならない。「思い」に秘められた偉大な力を信じて邁進すれば、すべてのことは必ず実現する。