◇「思い」を実現する条件

「思い」は必ず実現させることができる。ただし、「思い」は「信念」とも呼べるほど強烈なものにしなければならない。寝ても覚めても、その「思い」が頭から離れないほど強くあるべきだ。特に、その願望が実現不可能に感じるものであればあるほど、「なんとしてもやり遂げてみせる」という信念を築き、さらに「何があろうとも、オレは絶対に実行する」という「胆識」にまで高める必要がある。

 そして、もし本当に何かを実現したいのであれば、微々たる迷いをも許してはならない。人々はたいてい、胸の内に何か思いを抱いても「それを叶えることが難しい理由」をすぐ考えてしまう。

 しかし、それで事が成就することは絶対にない。大切なのは、ただひたすら自分の可能性を信じること。「思い」に秘められた想像を絶するほど偉大な力を信じて邁進する。そうすれば、すべてのことは必ず実現するはずだ。

◇巨大グローバル企業「京セラ」誕生の背景

 著者が、この「思い」を持つことの重要性についてここまで強く提唱するのは、本人が身をもってその力の凄さを経験しているからに他ならない。

 1955年鹿児島大学を卒業後、京都の老舗メーカーに就職。しかし、良い環境とは程遠い、給料の支払いも遅れる今にもつぶれそうな会社だった。

 何度も辞めたいと感じたものの他に行く当てもなく、残された「ファインセラミックスの研究」という選択肢に専念することを決断した。実験室に自炊用具を持ち込み、そこで食事も寝起きもしながら研究に打ち込んだ。

 ファインセラミックスの研究は、本来であれば著者の手に余る任務であり、本人もそのことよく承知していた。しかし、「何としてもやり遂げたい」という思い、そしてやがてその思いは「自分の手で、会社と仲間を救いたい」という信念に変わり、本人を突き動かし続けた。そして遂に、日本初、世界でも二番目に新しい、ファインセラミックス材料の合成に成功した。

 その後京セラを創業してからも、あらゆる根源にあるのは強い「思い」だった。社員の幸せのためになんとしても会社を成長させる、その「思い」で新しい材料、製品、事業を開発してきた。今では年間約1兆5000億円の売上を誇るグローバル企業も、その始まりは一人の人間の「思い」にあったのである。