スーパー新戦争 5重苦で大淘汰秒読み#4Photo by Yoshihisa Wada

ディスカウントストアのドン・キホーテや総合スーパーのアピタなどを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は、食品強化型の新業態であるロビン・フッドを2026年4月から出店すると発表。27年には首都圏に出店し、35年までに売上高6000億円、店舗数は200~300店体制にする構想をぶち上げた。人口減少に加えて、インフレであらゆるコストが上昇する中、ロビン・フッドの勝ち筋をどのように描いているのか。特集『スーパー新戦争』の#4では、PPIHのCOOでドン・キホーテ社長を務める鈴木康介氏に、話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

レッドオーシャンでも“魚”はいる
首都圏に出店し、隙間を埋める

――食品強化型の新業態ロビン・フッドを、2026年4月から東海地区で出店を開始すると発表しました。既に多くの競合がいるスーパー業界に挑むように見えますが、新業態を開発して、シェア争いに参戦することを決めた背景を教えてください。

 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は07年に長崎屋、19年にユニーを傘下に入れ、これまでも生鮮食品を扱ってきました。また、弁当や総菜などの製造会社であるカネ美食品を22年にグループ化し、食品分野を強化しています。

 私たちは食品スーパーをやりたいわけではありません。生鮮食品を扱う総合スーパーやドラッグストアの中には、日用品の取り扱い構成比を下げ、生鮮食品の構成比を上げていく企業が多くなっていますが、当社はそのような戦略ではありません。あくまで、総合ディスカウントストアとしての基本路線は貫いていきたいと考えています。

 インフレが進む中で、エンゲル係数(家計支出の中の食料費の割合)は、30%に近づこうとしています。そうなると、やはり当社としても食品の分野は無視できない。また狭商圏型の店舗でのシェアはまだ押さえられていません。

 狭商圏型の業態は、コンビニエンスストアやドラッグストアなどの競合他社がたくさんいて、レッドオーシャンです。しかし、今の国内でブルーオーシャンの市場はあまりないですし、そもそもブルーオーシャンには、“魚”は多くない。小売業界の中で、やはり最も“魚”がいるのは、食品の分野だと思います。やり方さえ間違わなければ、レッドオーシャンの中でもしっかり“魚”を取ることができるのではないかと考えました。

 ロビン・フッドはミニスーパーのように捉えられますが、あくまで、食品分野の“強化型”です。食品オンリーではないので、イメージとしてはこれまでのドン・キホーテに生鮮食品が取り入れられたという方が正しいかもしれません。食品と非食品をどのような比率でそろえるかを考えて、両方売っていくことを目指しています。

――そもそも大手スーパーなどが激しい競争を繰り広げている上に、インフレで仕入れ価格が上昇する厳しい環境です。どう捉えていますか。

 ロビン・フッドは、35年までに売上高6000億円を掲げています。既に当社は、菓子類ならコンビニに次ぐシェアを持っており、酒類はコンビニよりも高いシェアを持っている商品もあります。まず、このスケールを生かせるのではないかと思っています。

 食品のPB(プライベートブランド)も、当社はまだ“川上”の方へ進出できていません。これは、当社にとって伸びしろです。弁当や総菜の製造会社であるカネ美食品を子会社化し、意思決定やメニュー開発などのスピードが上がりました。確かにコストは上がっていますが、原材料の共同仕入れを進めてきたことで、既に原価低減ができ始めています。

――MEGAドン・キホーテは大商圏型の業態です。ロビン・フッドの出店は、その間を埋めるようなイメージなのでしょうか。

 最終的にはそうです。ただ、まずは首都圏です。早い段階から、首都圏で埋めていきたい。今、他の大手ディスカウントストアが新たな業態を開発したり、地方スーパーも首都圏に入ってきたりしていますが、当社はそれよりも前から、計画していました。

PPIHは、厳しい首都圏のシェア争いに、どのような戦略で参戦するつもりなのか。出店用地は限られており、地価も建築費も上昇している。次ページでは、PPIHが自信を見せる35年200~300店体制に向けた戦略や、同社が掲げる6%の営業利益率達成への施策について、さらに詳しく話を聞いた。