なお、名称は部長ではあるが地方の出先の部長は本省で言えば課長級であり、次長ということになれば課長級分掌職だ。重要な国有財産の売却を、課長級分掌職の決裁としたのは、筆者からすれば摩訶不思議としか言いようがない。

 もし、筆者の疑問をぶつければ、「部長不在で代決したのだ」という説明が返ってきそうだが、不在ならば部長在籍時まで待てばいいわけであり、それまで何ヵ月もかかるような話ではないはずだ。この決裁はそんなに急ぐ必要があったのだろうか?

 さて、決裁は通常は担当課の係員が起案し、自分の属する係のラインの他、関係する係のラインで係員→係長→課長補佐の順に審査が行われ、課長級分掌職の調査官、企画官といった職がある場合はそこも通って担当課長へ、さらにその局の総務課の審査ライン→局総務課長→局長といったように上がっていく。

 決裁文書は私の経験上、決裁伺いと書かれ、例えば「◯◯してよろしいか、伺います。」といったことが「本文」として書かれ、決裁手続き関係者が地位の低いものから高いものへと、文書の下から上へ順番に押印する文書(これは「かがみ」とか「決裁かがみ」と呼ばれている)が一番上に来る。次は、例えば公文を発出する場合はその案(ヘッダーに「(案)」と書かれている)が2枚目で、3枚目以降に説明資料等が添付される。

 公文の案のように1枚ものの場合は決裁手続の中で実際に審査が行われ、誤りがある場合は訂正して差し替えられる。筆者は役人1年生の時、毎日のように告示文を作成し、決裁文書を起案していたが、当初は何度か修正を求められ、その度に文書の差し替えを行った。当然のことながら、元の文書は廃棄される。

 一方、報告書や年次報告書(白書)のような分量が多い文書の場合は、決裁手続きに先立って審査担当や総括担当による下審査が行われ、誤字脱字から表現ぶり、用語の適否、引用している法令等が正しいものかどうかといったことが細かくチェックされる。