人生を政治に翻弄された
近畿財務局職員の自殺が発端

 今回の騒動の発端は、3月7日、近畿財務局の国有財産管理監の男性が、神戸市内の自宅で自殺したことから始まる。

 財務省も、麻生太郎財務大臣も、「自殺と、文書書き換え問題は別問題」と、切り離したいようだが、それは難しいだろう。

 男性が最期の瞬間に感じたことは何だったのか。

 朝日新聞社の週刊誌「AERA」はこの男性について、子どもはいなかったが、大変仲の良かった夫婦だったと紹介しているが、妻への愛慕の念がもちろん一番大きかったはずだ。

 しかし、それと同時に、権力を持たざる“非力”な者としての悲憤、努力しても組織の小さな歯車の一つに過ぎない自分への慷慨、霞が関に根強く残るヒエラルキーへの疑念、結果として問題の発端をつくってしまった自責の念、人生を翻弄された政治への憤怒…。そうした様々な思いが複雑に交錯し、自死という最悪の選択をしてしまったように思えてならない。

 男性は、2015~16年の間、池田統括国有財産管理官の下で、森友学園前理事長である籠池泰典被告夫妻相手に、ともに交渉に当たっていた。その後、8億円以上も値引きした額で学園に国有地を売却したことや、交渉の過程で安倍昭恵総理夫人の関与が取り沙汰されたりするなど、国会を空転させるほどの大騒動となった。