一連の森友学園問題では、直接、現場で交渉した人物であるが、官僚組織の強固なヒエラルキーの中で、末端の官僚にすぎなかった男性は、数ヵ月前から体調を崩して休職中だったという。

 財務局関係者は次のように話す。

「本人は、今春からの職場復帰を目指して、亡くなる前日も職場に来ていました。しかし、森友との国有地取引について作成した文書改ざん疑惑が報じられたことで、難しい状況になったことを理解したのでしょう。組織ぐるみで行われたことが明らかになり、焦点は書き換えが改ざんであったのか、また故意であったのかどうかに問題は絞られつつあった。地検から彼への聴取も取り沙汰されていたので、急激に精神のバランスを崩してもおかしくない状態でした」

 大阪地検特捜部は、公用文書等毀棄、証拠隠滅などの容疑で佐川宣寿前理財局長・前国税庁長官に対する刑事告発を受理しており、近く、事情聴取を検討しているという。

 男性に対して検察は、「任意聴取はしていなかった」と発表したが、本人としては、いつ呼ばれてもおかしくはないという不安の中で、精神的に追い詰められていった可能性もある。

 男性ほど、政治に踊らされてきた人もいないだろう。

 1985年、国鉄民営化に伴って発生する、大量の余剰人員対策として「国鉄余剰人員対策の方針について」が閣議決定された。この閣議決定の趣旨に沿い、財務省の地方支分部局である10の財務局は、86年から3年にわたり、合わせて73人の旧国鉄職員を採用した。当時まだ20代前半だった男性も、その中の一人だったという。