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気はやさしくて胃痛持ち
【第5回】 2012年2月29日
著者・コラム紹介バックナンバー
市川純子 [(財)日本ヘルスケアニュートリケア研究所]

一度開けたら二度と閉めることのない24時間営業。
実家を継いだ店長の気が休まらない日々

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 コンビニになってからの両親は、以前よりもさらに忙しそうだった。定休日がないからまったく休めない。オープン当初は父親が店長になって、店を切り盛りしたが、数ヵ月で疲労していった。それからはアルバイトだけでなく、店長を任せられる正社員も雇うようになった。忙しさは少しは改善したようだったが、それでも両親の気が休まることはなかった。

 睡眠不足の両親が心配で、大学生だったEさんもなるべく店を手伝った。夏休みなどは夜間の納品と検品に立ち会うようにした。地元のパン屋や本屋、駄菓子屋などが廃業するなか、Eさんの両親の経営するコンビニは確実に売上げをあげていった。Eさんが大学を出て、スーパーマーケットに就職した年、両親は隣の駅に2号店を出した。

 このころの両親が一番忙しく、母親が料理を作る時間もなくなった。朝は調理パン。昼は麺。夜はお弁当にスープ。冬はおでん。食事は店の商品ばかりになっていったが、Eさんはその味が好きだった。

 次々と新作が出てきて、どれも美味しくて飽きることはなかった。デザートもパンも美味しい。テーブルの上の弁当を温めて食べる独りの食事は、たまにわびしさを感じることもあるが、慣れてしまえば気軽だった。

スーパーのバックヤードで見た
人間関係のいやな面

 就職したスーパーマーケットでまず驚いたことは、主婦のパートさんの力が絶大だったことだ。「あの人は雑だからイヤ」「女子高生とレジを組むのはイヤ」。パートさんたちはEさんに、シフトに関する文句を言う。

 文句を言われるたびに、Eさんは胃が痛くなった。自分の仕事で残業するのは全然構わない。自分が上司から叱責されるのも構わない。しかし、母親くらいの年齢のおばさんたちの陰口を聞くのは気が滅入った。

 最も困るのは当日の休みの電話だ。「義父の介護で」「娘が風邪で保育園に行けなくて」。こんな時もEさんは胃が痛くなる。

 特に土日のシフト変更は憂鬱だ。「誰に店に出てもらおうか」。胃薬を手にとり、胃痛を和らげ元気な声で電話をする。「すみません。夕方に3時間だけ来ていただけませんか?」

 パートさんたちは本当によく働くからこそ、文句が出るのだと思い、親身に接するように努めた。

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市川純子 [(財)日本ヘルスケアニュートリケア研究所]

1961年生まれ。財団法人日本ヘルスケアニュートリケア研究所 所長。広告代理店で大手私鉄の広報を担当。その後PR会社に転職し、医薬品や化粧品分野に携わる。2003 年にJ&Tプランニングを設立。代表取締役に就任。研究や情報の開発も行いヒット商品を数多く手がける。医療健康美容分野の研究のために2010年財団を設立。


気はやさしくて胃痛持ち

失われた20年と呼ばれる日本経済。そんな長い停滞のなかをがむしゃらに、ひたむきに日々の仕事・生活を生きてきたビジネスマンたち。さまざまなストレスに耐えてきたカラダもそろそろ注意信号を出す頃。いろんな職場のいろんなビジネスマンのいろんな悩みと不調を少し悲しく少しおかしく紹介します。

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