よくよく話をお聞きすると、どの投資信託を買うかまでは決まっているが、不安なので一人で手続きをしたくないとのこと。一緒にパソコンの前に座って、口座開設の手続きや具体的な商品の購入までおつきあいしました。

とはいえ、決してその方のITのリテラシーが低いというわけでもなければ、ハイリスク・ハイリターンな商品に手を出そうとしているわけでもないのです。
いったい、何がそんなに心配だったのだろうと不思議でした。

その方は、とくに臆病な性格の持ち主というわけでもなさそうで、今回の投資額をはるかに超える不動産投資物件を買っていたり、大きな保険商品を契約されたりしています。小心者の私からすれば、巨額の資金をたった1軒の不動産物件に賭けるほうがよっぽど怖いですし、途中で解約するとほぼ間違いなく損する長期保険なんて、とても恐ろしくて契約できません。

また、「これがいちばん手堅いから」という理由で、大きな額を銀行預金に置いたままにしている方もたくさんいて、ちょっともったいないなと思うことがよくあります。

「(う~ん、それってほんとうにベストの選択なのかな……)」

私たちは家計に関して、さまざまな選択をしています。それらは家計のなかに結果として積もっていきます。安心のために入った保険、現物がいちばんだからと買った不動産、ギャンブル代わりの株投資、勧められるがままに購入した投資信託……。

お金の相談にいらした方とお話ししていると、怖がる必要のないことを無駄に怖がっていたり、じつはもっと心配したほうがいいことを見落としていたり、考えるのが面倒でつい放置していたりということがたくさん見つかります。