コインチェックの和田晃一良社長(左)と大塚雄介最高執行責任者 Photo by Takahisa Suzuki

「2018年3月8日」は仮想通貨業界の歴史の中で、重大な転換点の一つとして記されるだろう。監督官庁の金融庁が仮想通貨交換業者7社を一斉に行政処分。そのうち2社には業務停止命令を下した。そこで明らかになったのは、新産業の旗手として期待された企業たちのあまりにお粗末な実態だった。(週刊ダイヤモンド編集部 鈴木崇久)

仮想通貨の業界全体に不信感
監督官庁の金融庁が動き出す

 顧客資産の私的流用、不正取引の看過、システム障害の頻発、顧客への情報開示における不適切な状況――。

 これまで謎に包まれてきた仮想通貨交換業者のビジネスの実態が明るみに出た。それは、想像以上にお粗末な世界が広がる“パンドラの箱”が開いた瞬間だった。

 仮想通貨の販売や売買の仲介をなりわいとする仮想通貨交換業者は、日本の新たな成長産業の有望株として期待されてきた仮想通貨業界の旗手だった。

 ただ、彼らは財務諸表や経営管理体制などの情報開示がほとんどない、まったく新しい産業のベンチャー企業たち。そのため、利用者としては大事な自分の資産をどの交換業者に預けるべきかを考える際に、参考になる情報が限られてきた。

 ところが、交換業者の中で急激な台頭をみせていたコインチェックにおいて、当時の交換レートで約580億円相当もの仮想通貨「NEM(ネム)」が不正に流出する事件が発生。この一件を受けて仮想通貨の業界全体に不信感が募り、利用者の間にも不安が広がった結果、監督官庁である金融庁が動き出した。