ジェフ・ベゾスを成功に導いた「タカの目」思考とは?

 理論物理学者で数学者のフリーマン・ダイソンは、ひとつの説明を提唱している。彼は自然科学者を2種類に分類する。複雑な自然の姿を上空からとらえる「タカ」タイプと、ややこしい細部のなかをうろちょろ歩き回る「カエル」タイプだ。カーツワイルは、ときどき脳の集中を解いて全体像をとらえるのが好きな「タカ」タイプといえる。そうすることで、遠い未来のさまざまな可能性を予測できるようになる

 タカになり、俯瞰的な疑問を掲げることで、偉大なあなたへと一歩近づくことができるだろう。といっても、空飛ぶドローンやナノボットの実現を予測する必要などない。あなた自身の人生について大きな疑問を掲げればいい。「今から半年後に私にとって最大のビジネスチャンスが訪れるとしたら、それはなんだろう?」

 ジェフ・ベゾスが非集中の一環として実践しているのは、「後悔最小化フレームワーク」と彼が呼んでいる手法だ。このフレームワークでは、次の3つの視点から自分の人生について考える。まず、あなたの人生を80歳まで延長させる。次に、80歳の自分に、大胆なアイデアを試しそこねて後悔していないかどうかをたずねる。そうしたら、その情熱を追求するために仕事、ボーナス、安定を投げ打ったら後悔するだろうかと今の自分にたずねる。この長期的な視点に立つだけで、あなたの頭のなかの「タカ」を目覚めさせることができるだろう。

 あなたの脳は、非集中が活性化させるDMNの働きによって、時には水晶玉にもなりうる。DMNはDMN内部のつながりはもちろん、パズルのピースを組みあわせて未来を予測する脳の領域とDMNとのつながりも活性化させる。完成した過去のパズルにいつまでもとらわれるのはやめて、未来のパズルのピースをいじくり回し、できあがった1枚1枚の絵を見ながら、納得できるものが見つかるまでピースを並べ替えてみてはどうだろう。