ハーバード・メディカル・スクールで教鞭を執る「脳の専門家」スリニ・ピレイ博士が、集中力と表裏一体の関係にある「非集中力」の驚くべき力を活かすメソッドを明かした新刊、『ハーバード×脳科学でわかった究極の思考法』がいよいよ日本に上陸した。
同書によれば、世界一有名な未来予測レイ・カーツワイルや、アマゾンを創業したジェフ・ベゾスもまた、一流の「非集中力」の使い手だという。アマゾンを成功に導いた、「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」を刺激して、望む未来を引き寄せる「タカの目」思考とは?
世界一有名な未来学者の予測は、なぜ当たるのか?
グーグルのエンジニアリング・ディレクターであるレイ・カーツワイルは、世界一有名な未来学者のひとりだ。彼はこれまでの未来予測のなんと86パーセントを的中させている。
1999年に彼は、さまざまな形のパソコンが登場し、10年後には着用できるようになると予測した。また、2009年までにポータブル・コンピューターが流行するとも予測した。2000年、彼は2010年までに超広帯域幅のワイヤレス・インターネット通信が常時利用できるようになると予測した。同年、彼はコンピューターが巨大なスーパーコンピューターや記憶装置を形成するワールド・ワイド・メッシュ(世界規模の網)を活用するようになると予測し、見事に的中させた。彼の予測はあらゆる面で正しかった。彼の未来予測の精度は驚異的だ。
現在、カーツワイルは検索エンジンがもうすぐ私たちに自発的なフィードバックを与えるようになると予測している。たとえば、新しく開店するレストランを検索すると、その未来の検索エンジンは開店日を知らせ、メニューまで送信してくれる。もうひとつの脳のように機能するわけだ。さらに大胆なことに、彼は人間のDNAからつくられたナノボットが血流のなかを動き回り、クラウドと接続して私たちの脳から直接メールや写真を送信できるようになるとも予測した。
カーツワイルの思考をよくよく調べてみると、彼が人間とマシンに関するきわめて専門的で複雑な知識を持っているとわかる。加えて、彼は未来をのぞきこみ、指数関数的な進歩が起きる転換点を想像する能力さえ持っている。脳が非集中モードになり、DMNの活動が高まると、周波数の低い脳波のリズムが発生し、さまざまな未来を想像できるようになる。しかし、カーツワイルはどうやって脳を非集中モードに切り替え、こうした過激なアイデアを想像しているのか? なぜ彼の予測はこれほどよく当たるのか?