ネットで女性が「買いたい気分」になる魔法の演出法女性は男性よりも、色などの「パッと見」の印象に敏感だ。「なんとなくイヤ」と感じてしまうと、その商品はもう買われなくなってしまう……(写真はイメージです)

要約者レビュー

「セールスコピーライター」という職業を知っているだろうか。耳慣れない職業かもしれないが、ウェブサイトやチラシ、メールなど、商品やサービスを「売るための文章」全般を書く仕事のことである。本書『ネットで「女性」に売る 』はそのなかでも、女性に「売るための文章」を書き続けてきた、現役セールスコピーライターによる珠玉の一冊だ。

ネットで女性が「買いたい気分」になる魔法の演出法『ネットで「女性」に売る』
谷本理恵子、 192ページ、エムディエヌコーポレーション 、1500円(税別)

「女性に響く見せ方や書き方を追求していくと、女性と男性でははっきりと異なる常識がある」というのが著者の見方である。それはつまり、女性に売りたいならば、男性とは違うアプローチをしなければならないということだ。

 著者によれば、女性はいまいる現実に対して、違和感をもっていることが多いのだという。だからこそ常に「本来の自分を取り戻してくれる魔法」を探し求めている。本書ではこの考えにもとづき、女性に売るためのアプローチが解説されていく。

 著者が女性ということもあり、そのアプローチ方法はどれも説得力がある。しかしその根底にあるのは、「売る相手を知り、その人に合わせたセールスをする」という、セールスの鉄則に他ならない。本書は女性に対するアプローチ方法を具体的に示しているものではあるが、この基本的な理念は、誰にモノを売る場合でも適用できるはずだ。

 女性にモノを売るための文章を書きたい人はもちろん、デザインや営業など、「モノを売る」ことに関わっているあらゆる人にとって、得るものがあるだろう。 (池田 明季哉)

本書の要点

(1) 女性にとって現実は「仮の姿」であり、「お城にいる自分」こそが「本来の自分の姿」である。そのため「ないものを手に入れる」のではなく、「もともともっているものが目覚める」というニュアンスが重要となる。
(2)女性は「解決手段」ではなく、「本来の自分を取り戻してくれる魔法」を探している。数字やスペックよりも、「ときめき」や「理想の場面」を見せることが、売り上げ向上につながる。
(3) 女性は男性よりも「パッと見の印象」に敏感だ。色やフォントなどといった小さな要素にこだわることが、印象を大きく左右する。