前回までにお客さまの警戒を解くための心理テクニックをご紹介しました。
今回は警戒心を解いた後、「買いたい」と思わせるにはどうすればよいかを考えてみます。
男性には「2割高め」、
女性には「2割安め」
最も基本的なテクニックは、予算を告げられたとき、お客さまが男性なら「2割高め」、女性なら「2割安め」の商品を見せることです。
たとえば男性のお客さまが「1万円ぐらいでネクタイを買いたい」と言ったときは、まず1万2000円ぐらいのネクタイを見せます。一方、女性なら8000円ぐらいのネクタイを見せるのです。
男性に予算より高いネクタイを見せるのは、よりよい商品を最初に見てもらうためです。
いったん1万2000円のネクタイを見た男性は、次に1万円のネクタイを見ると、1万2000円のほうがモノがいいことを実感します。「どうせなら、いいものを買おう」と、1万2000円のものを選びやすくなるのです。そして「予算より高くついたけど、いいものが買えてよかった」と満足して帰っていくわけです。
一方、女性のお客さまの場合、最初に8000円のネクタイを見せると、「この人は親切な人」と、店員に対して好印象を抱きます。予算より安い商品を出してくるのだから、「この人は儲けることだけ考えているのではない」「お客の立場に立って考えられる人」と感じるわけです。
そこで1万円のネクタイを見せると、やはりモノがいいことがわかります。「せっかくだけれど、やっぱり1万円のほうにしましょう」となるのです。勧められた8000円のものではなく、より高い1万円を選んだことで、誇りをもって買うことができます。