IoT(モノのインターネット)を成長の柱にする日立にとって、データ解析による合理化で成果を出しやすい発電分野で実績を作る機会を失うのは大きな損失だ。

 このように課題が山積する中で日立が白羽の矢を立てたのが、ソフトな外見とは裏腹に「仕事には厳しく、怖い」と評判の西野氏だ。

 半導体の技術者である西野氏は、三菱電機と半導体事業を統合してできたルネサステクノロジ(現ルネサスエレクトロニクス)の役員として人員削減や生産拠点のスリム化を断行。NECの半導体子会社との統合でも各社の技術を整理する難交渉をまとめた。

重工・宮永社長と朋友関係

 4月からはMHPS会長に加え、電力事業出身者で占められてきた日立の電力部門トップ(=電力担当副社長)に初めて部門外から就任する。「20年の発送電分離で激変する業界に対応しろという東原敏昭社長のメッセージが込められた人事だ」(日立幹部)という。

 三菱重工関係者は改革派の西野氏に戦々恐々としているが、恐怖をさらに増幅するのが三菱重工の改革派、宮永俊一社長と西野氏が気脈を通じていることだ。

 日立と三菱重工の統合が11年に破談になった後、「やれる分野で進めよう」と当時の社長室長の宮永氏と戦略企画本部長だった西野氏が交渉を重ね、誕生したのがMHPSだ。もとよりMHPSの安藤健司社長は剛腕で知られる。西野氏が会長になれば抜本改革の役者がそろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)