その組織の運営の仕方がマネジメントだった。
――万人のための帝王学を編む

 しかも、支配する者だけが帝王学をマスターするだけでは不足という知識社会が到来していた。つまるところ、万人のための帝王学が必要とされていたのだった。1966年、ドラッカー56歳のときの著作『経営者の条件』、原著名『The Effective Executive(できる奴)』が、この万人のための帝王学の嚆矢となった。

 20世紀最後の年の1999年、89歳のときの春、ドラッカーは、『Management Challenges for the 21st century』を書いた。日米同時出版ということで、その日本版『明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命』は早くも3月には店頭に並び、直ちにベストセラーになった。そして4月、ドラッカーが英語名「Institute of technology」の名付け親となった「ものつくり大学」が、1年後に迫った開学を前に、教員予定者の顔合わせのための会を開いた。その席上、私は建設学科の3人の教授予定者から、別々に、「新著の『明日を支配するもの』が凄い。ドラッカーの他のものも読みたい。何がよいか」と聞かれた。ドラッカーに伝えたところ、ドラッカーもよく同じことを聞かれて困るとのことだった。

 そこで早速ドラッカーの膨大な世界の地図をつくることになった。社会編とマネジメント編ということになった。ところが、編集を始めてすぐ、若い人へのメッセージに相当するものがきわめて多くあり、それらのものを独立させて自己実現編とし、全体を3部構成にしようということになった。

 こうして2000年6月、日本発のドラッカーのロングセラー『プロフェッショナルの条件』(英語版『The Essential Drucker』)が生まれた。この書によって青年時代や進路が変わったという人は多い。

 そして2005年ドラッカーの最晩年、同僚ジョセフ・マチャレロ教授とのコラボレーションにより、ドラッカーの箴言による『プロフェッショナルの原点』(原書名『The Effective Executive in Action』)が生まれた。