「パネイルクラウドを使えば、電力流通コストを半分にすることができる」。パネイル社長CEOの名越達彦は、さも当たり前のように言ってのけるが、これが電力業界に与えるインパクトは計り知れない。
電力流通コストとは、電力会社が日々行っている電力の需給管理や電源調達、請求業務をはじめとする顧客管理業務のコストのことをいう。
「パネイルクラウド」は、AI(人工知能)を核にしたクラウドシステムで、人の手を極力介さずに一切の電力流通業務をクラウド上で行うことができる。そのため、工場など大口顧客の平均的な電気料金単価である、キロワット時当たり20円に占める電力流通コストを、従来型システムの2~3円からおよそ半分にまで圧縮できる。
円単位でコストを圧縮できるシステムは、電力会社なら喉から手が出るほど欲しいはずだ。2016年4月の電力自由化で、電力市場では熾烈な価格競争が始まっているからだ。
電力会社は価格競争力を得るために、電気料金原価の半分近くを占める発電コストを下げるべく、発電所の燃料調達からメンテナンス方法まで一から見直し、銭単位でコスト削減努力を続けてきた。
しかし、それにも限界がある。すでに業界内では、円単位での削減は難しいというのが定説となっていた。
そんな中で登場したパネイルクラウドに、電力会社からの注目が集まらないはずがない。開発した名越は、業界の救世主といっても過言ではない存在となっている。