人は誰でも風邪をひく。しかし、いつもピンピンしている人がいる。彼らには「早期発見・即対処」という共通点がある。風邪をひきそうになっても悪化させないから、周囲から「風邪をひいているように見えない」のだ。では、彼らはいつ、何をしているのか?
本記事では、現役の内科医、救急救命医、薬剤師などの知見と医療統計データ、150近くの最新の医学研究論文や文献を総動員し、「医学的に正しい風邪対策」を紹介する裴英洙氏の話題の新刊『一流の人はなぜ風邪をひかないのか?MBA医師が教える本当に正しい予防と対策33』から、内容の一部を特別公開する。(構成:今野良介)
ウイルスを刷り込むようなもの
誰しも、人の見えないところで、こっそり「鼻くそ」を掃除しているでしょう。
この「鼻くそほじり」は、理論的に、風邪のリスク要因になりえます。
誰かと接したり、何かを触ったり、外に行ったりすると、原則、ウイルスは自分の身体のどこかに付着しているものと考えるべきです。さまざまなものに触れる指先には、ウイルスが付着している確率は高くなります。
つまり、「鼻くそほじり」は、指先のウイルスを鼻の粘膜に刷り込む行為だと言えるのです。
鼻の中には「鼻毛」が生えています。鼻毛は、生理的なフィルターであり、体外からの埃や細菌、ウイルスを絡めとる役割を果たしています。その結果、異物が鼻水に混じって固形化したものが、いわゆる「鼻くそ」です。
鼻くそ掃除は、そうしたウイルスなどの異物を鼻の奥へと押し込む可能性があるということです。
伸びた爪で鼻の中をいじらない
爪にある程度の長さがあると、鼻くそを絡め取りやすくなります。しかし、伸びた爪で鼻くそ掃除をすると、鼻の内側の粘膜を傷つけ、鼻の中にウイルスなどの感染を広げる可能性があります。伸びた爪の間には、ウイルスや細菌が潜んでいることがあるのです。
もちろん、鼻をほじるなとは言いません。
先日の記事“濡れた手で「アルコール消毒」してはいけない(https://diamond.jp/articles/-/163401)”に書いた方法で、アルコール消毒や手洗いをしてから行なうようにしてください。
また、鼻の中に指を入れるのではなく、鼻をかむことで鼻掃除をするのも、感染リスクを下げることにつながるでしょう。
「鼻毛」を切りすぎない
「鼻毛カッター」などを利用して鼻毛を切ることは、身だしなみには大切なことです。しかし、先述の鼻の「フィルター機能」を低下させるおそれもあります。
外から見えない程度にとどめ、鼻の奥の毛まで切りすぎないほうがいいでしょう。
(参考記事)
トイレの「ハンドドライヤー」を使ってはいけない
(https://diamond.jp/articles/-/162378)
『一流の人はなぜ風邪をひかないのか?』では、このほか、医学的な根拠に基づいた、日常生活の中で風邪リスクを激減させる具体策を詳しく紹介しています。
仕事を休めないビジネスパーソンはもちろん、結婚式や旅行など重要なイベントを控えた方、受験生やその家族、妊娠中の方など、絶対に風邪をひけない時期に、ぜひ本書の内容を実践し、肉眼で見えない風邪ウイルスと戦う正しい方法を身につけてください。