東京電力福島第一原子力発電所が目と鼻の先に位置する福島県富岡町。町内全域が警戒区域(半径20キロメートル圏内)にあたり、全町民は県内の郡山、いわ き市などに避難している。一刻も早い除染活動の本格化と町民に対する賠償を進めることが求められているが、遅々として進まない。遠藤町長は事故対応にあたる国、政治家、官僚たちのスピードの遅さにイライラを募らせている。この1年の評価と、今後の町作りの方向性について話を聞いた。
(ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)
除染対応の準備は3ヵ月で十分
もう震災から1年経っている
――この1年の政府の原発事故対応について、どう考えているか。
とにかく、遅い。これに尽きる。すべてが半年遅れている印象だ。復旧や復興、そのための除染、こういったことは実際には昨年の9月には計画を立てて、スタートする予定だった。それがズルズルと時間が過ぎていって、結局、今になっちゃった。もう1年経っている。計画を作ったり、そういう準備期間は3ヵ月で十分でしょう。計画に半年かかって、さらに動き出すのに半年かかっている。住民は疲れている。賠償だって、まったく進まない。仕事はどうするのか。すべてが遅れているんだよ。
国会議員?たくさん来たよ。100人くらいかな。でも、ほとんど機能していない。私たちの声を聞きに来てくれる。でも、国会で何も決まらないんだから。国会議員の先生はいったい何をやっているんだ、という気持ちだ。みんな返事だけ。
いや、フットワークが軽くて、尽力してくださる国会議員の方々は居ますよ。でもね、答えが出てこないんだ。答えが欲しいんだよ。
土地や住宅等の財物保障もどんどん進めてほしい。少なくとも、住民に対して丁寧に説明してほしい。それさえないんだよ。それでは前に進まないよ。もう1年だよ。何もみえないよ。何もみえていないでしょう?われわれの生活も賠償の問題も、何も変わってないよ。
――何が原因だと感じているか。
結局、民主党は官僚を活用しきれていないということなんだと思う。政府と官僚、党の連携ができていないように思う。スムーズにいっていないよ。