大震災では、被災地に店舗を持つ企業の災害対応力も問われた。特に、生活のインフラ機能を担う事業者は1年前のあの日、どのように動いたのか。各社の被災状況と復旧方法を改めて振り返るとともに、今後来るべき首都圏など他地域での災害への備えを考える。

食糧や生活必需品を提供する
小売り業の真価が問われた震災

イオンモール石巻は急きょ、避難所として活用された

 津波は、日常の買い物の場をも飲み込んだ。店舗には一階からクルマや家屋の破片が突っ込み、天井までヘドロに浸かった。津波の被害を免れたショッピングモール店内に毛布が敷き詰められ、一時避難所として利用された。

 今回、津波や地震で営業を休止した東北地方の店舗は、イオングループで288店、セブン&アイグループで約700店、ローソンで384店、ファミリーマート約300店に及んだ。東北地方の店舗数の40~65%に相当する数字である。

 店舗だけではない。イオンでは仙台と関東にある在庫型物流センター2ヵ所、イトーヨーカ堂では日用品と生鮮品、冷凍食品の3つのセンターが止まった。セブン・イレブンでは東北と北関東の20の物流センターが被災。ファミリーマートでは東北6県をカバーする4つの弁当工場がストップした。社員やパート社員に犠牲が出たチェーンも多い。

 この震災で、小売り店舗はどのように復旧に動いたのか。

 イオンは震災後15分で設立された被害対策本部には商品、物流、総務、店舗の建設担当、業態別の各グループ会社の災害対策本部担当40人が集められた。店舗の被害情報を、さまざまな担当の人間が逐次判断し、復旧の優先順位や方針を決めていった。

イオン東北RDC(リージョナル・ディストリビューション・センター)では商品仕分けは手作業で行われた

 震災でストップした東北の物流センターには関西から、関東センターには中部にあるセンターからトラックで物資を輸送した。

 物流センターでは、通常は店舗ごとに発注された商品の仕分け作業を自動倉庫で行っていたが、津波の被害で自動倉庫は動かない。数万ケースに上る商品の仕分けは、被災地に全国から救援に駆けつけた社員による手作業で行われた。その数は2000人以上に及んだ。