24日、劉鶴副総理の“最初の仕事”はムニューシン米財務長官との電話会談だった。ムニューシンが中国の知的財産窃盗問題に関わる通商法301条の調査報告に関して説明すると、劉は「同調査報告は国際貿易ルールに反しており、中国側、米国側、世界全体の利益に不利に働く。中国側はすでに準備を整えた。国益を断固として守る実力を我々は擁している」と返した。

 この模様を伝えた国営新華社通信の報道は劉鶴の肩書きの部分で中央政治局委員、国務院副総理、中央財経領導小組弁公室主任に加えて、「中米全面経済対話中方牽頭人」と記している。“牽頭人”とは「交渉をリードする責任者」を指している。今後、対米経済交渉を先頭に立って統括するのが劉鶴ということである。

 少し話がそれるが、劉は局長級クラス官僚だった1994~95年、ハーバード大学のケネディスクール(公共政策大学院)にて国際金融と貿易を中心に学び、修士号を取得している。

 今回周小川氏の後任として中国人民銀行総裁に就任した易鋼氏もイリノイ大学にて経済学博士号を取得しているが、このような「海外留学&学位取得組」が党や政府の要職に就き、政策の立案、決定、履行そして評価に直接関与するという事象が、中国共産党のガバナンスにどういう質的影響を与えていくのかという問題に今後一層注目していくべきだと、今回の“両会”を通じて筆者なりに考えさせられたものである。

対外関係のプロとして不可欠な
楊潔チと王毅

 王岐山と劉鶴が中国共産党の正統性を脅かしかねないトリガーと不安要素を内包している対米関係をどうマネジメントいくのかが注目されるが、とはいえ、この2人は外交のプロではない。

 対外関係を安定的にマネージしていくためにはやはりプロフェッショナルの協力やコミットメントが不可欠になる。その意味で注目されるのが楊潔チ(チの字は竹かんむりに“褫”のつくり)と王毅である。

 楊は外相、駐米大使経験者で、昨秋の党大会で国務委員を兼任しつつ政治局委員に就任した。職業外交官の政治局委員就任は銭其〓(〓の文字は王へんに“深”のつくり、1992~2002年)以来である。