習近平が国家主席の任期の規定を削除
理論的には何期でも務めることが可能に
2月25日、日曜日———。
年に一度の“両会”(全国人民代表大会&全国政治協商会議)を目前に、「党と国家機構改革の深化」が審議される中国共産党第19期三中全会を翌日に控えるなか、中国共産党中央委員会の《憲法の部分的内容の改正に関する提案》(以下“提案”)が国営新華社通信を通じてリリースされた。
注目されているのは、憲法79条が定める「国家主席と副主席は連続2期を超えて任期を継続できない」との規定を削除するという部分であるようだ。公表される約1ヵ月前(1月26日)に起草され、全国人民代表大会常務委員会へ提出されたこの“提案”が全人代で審議を通じて採択されれば、国家主席と国家副主席は2期(1期5年)という任期に縛られず、理論的には何期でも務めることが可能になる。
本連載は終始「中国民主化研究とは中国共産党研究である」という立場に則って議論と検証を展開してきた。本稿は、私たちが中国共産党政治を理解する上で避けては通れない、“提案”が内包するインプリケーションを抽出する。この作業は習近平政権の現在地と展望を占う上でも重要になるものと信ずる。
最大の焦点はやはり“習近平政権”がいつまで、どこまで続くのかという観点からの分析である。“提案”を通じて、国家主席の任期が2期10年に限らないことが“制度化”されるということは、習近平国家主席は2期目が終了する2023年春以降も続投が可能になるということである。
江沢民、胡錦濤という2人の前任者も同様であったが、習近平は党総書記、国家主席、中央軍事委員会主席という最重要3役を兼任している。中央軍事委員会主席にいわゆる任期は定められていない。胡錦濤のように総書記を退く段階で退任することもできるし、江沢民のように総書記と国家主席を退任した後引き続き居座ることもできる。