「はい、臭かったです」

 妻が苦しんでいるというのに、なんという連中だろう。修学旅行の思い出に加え、英子さんにもう一つ、心の傷が加わった。

 腸閉塞には複数の種類があるが、大きく分けると、ただ腸内に詰まりが起きているだけの腸閉塞と、締め付けが起きてしまう「絞扼性(こうやくせい)イレウス」とがある。

 原因で多いのは開腹手術だ。病気の種類は関係なく、術後に、腸同士や腸と腹壁が癒着を起こし、結果癒着した部分が捻じれたり締め付けられたりして、腸閉塞となる。それほど多くはないが、英子さんのような酷い便秘や異物の誤嚥(誤って飲み込むこと)によっても生じる。

「たかが便秘」と馬鹿にしてはいけないのである。

 治療法は基本的に、絞扼性イレウスとそれ以外の腸閉塞とで異なる。絞扼性イレウスは、開腹手術が普通。それ以外の腸閉塞は、点滴・抗生物質の投与、イレウス管と呼ばれる細長い管を入れて、腸内のガスなどを外に出す治療法が行われる。腸への負担を減らすため、絶食も必須だ。

 数日後、英子さんは回復し、何事もなかったかのように歩いて退院した。

皮膚がたるむように
大腸もダラーンとたるむ

 後日、退院の報告と、今後の相談をするために、英子さんは家庭医のもとを訪れた。腸閉塞は“癖”になるらしいので、予防法を教わりたいと思ったのだ。

 ショートカットがよく似合うキュートな女性医師は、優しくアドバイスしてくれた。