中国でも人手不足
生産が滞る工場も
中国出張中、日曜日を利用して民営企業が最も多い浙江省を訪れ、夜8時を過ぎたところで、慈渓という町にある民営企業に到着した。それから2時間ほど、この会社の業務内容や、製品開発力などについて話を聞いた。出張先の地方都市から急いで戻ってきた経営者などの幹部は、嫌な顔一つせず、社内を丁寧に案内してくれた。
この会社は、水関連の製品を作っているが、地元ではこの分野の有力会社として評価されている。昨年の売上高は70億円近くもあり、伸び率も悪くなかった。しかし、経営者には大きな悩みがあった。人手不足だ。春節(旧正月)前に納入すべきだった製品を、1ヵ月過ぎた今なお作り続けているのだ。
「注文はどんどん入ってくる。しかし、ワーカーがなかなか集められず困っている。技術者などを含む従業員が、あと3割ぐらい確保できれば心強いのだが。今の人数では、どう考えても対応できない…」
頭を掻きながら、人手不足の深刻さを訴えている経営者の言葉を、重く受け止めなければなるまい。人口14億人の中国は、今や人手不足という信じられない問題にぶち当たっているのだ。