建築の仕事にやりがいを感じていたため転職は考えていなかったが、34歳のときに転機が訪れた。

 たまたまNTTグループのデータセンターの改修工事に関わったことがきっかけで、NTTデータの当時の部長に、「請負とは違う楽しさがあるぞ」と誘われたのだ。

「建築の面白さは、時代のニーズに建物という形で応えること。そして、社会を変えるITの物理的な集約点がデータセンターだと感じていて、未来の可能性に懸けてみたかった」(堀口)

建物全体に空気の通り道
エネルギー消費は3割減

 堀口によれば、一般的な建物と比較すると、データセンター建設には独特の難しさがあるという。

 データセンターはひとたび稼働を始めれば、24時間365日休むことができない。このため、トラブルがあっても機能を維持し続けるための冗長性や、信頼性を最優先しなければならないのだ。

 また、技術の進化も、意外なことに悩みの種だ。

「ITの変化は凄まじく速いのに、建設した建物は数十年も使う必要がある」(堀口)

 他の建物ならば閉鎖して改修や建て替えをするという手段を取れるが、データセンターはそう簡単には止められないのである。

 データセンターの新設は、NTTデータでは品川ビル以来15年ぶりだ。デジタル化に伴う需要の拡大で、データセンターの新設は堀口が所属する部署の長年の悲願だった。しかし、建設に適した土地はなかなか確保できなかった。

 幸運が舞い込んだのは2013年。もともとあった通信機器大手、日本無線の工場の閉鎖が決まった。そしてそこは、既存の三鷹データセンターの隣接地だったのだ。

 部署を挙げて最新のデータセンター建設の必要性をアピールし、「二度とないチャンスだ。投資に見合う価値がある」と土地の確保を岩本に訴えた。

 14年12月、土地の取得が正式に決まり、三鷹EASTの建設プロジェクトが本格的に動きだした。