東京オリンピックの喧騒が去った2020年、あなたはどんな生活をしているだろうか?
AIによってシンギュラリティは起きるか? ヒト以上にやさしいAIは登場するか? ヒトとAIはどう共存していくのか?
構想・執筆に2年かけたエンターテイメント小説『マルチナ、永遠のAI。――AIと仮想通貨時代をどう生きるか』が話題となっている。
ビットコイン、ブロックチェーン、ディープラーニング……正確な技術論と、その道の世界的権威の見解をもとに緻密に描いた作品で、SFではなく、小説風の解説書になっているという。
実物通貨と仮想通貨、日常と非日常、ヒトとAIの境界線がどんどんなくなりつつある今、私たちはどうやって生きていけばいいのか?
2000年代中盤から「AI」と「IoT」を研究し続けてきた大村氏の特別寄稿をお送りする。
(構成・寺田庸二)

AIの学習結果だけを利用する
「AIの蒸留」で、AIはより身近に

 私たちは、学校で国語・算数・理科・社会といったことを教えてもらいながら成長していきます。

 そのときに読む教科書には、さまざまな「学び」が書かれています。

 また、社会人になってなにかを学習しようと思ったときには、今の時代、学び方は色々ありますが、多くの人が書籍を買い求め、それを読むことで学習するのではないでしょうか。

 こうした教科書や書籍、いえ、もっとわかりやすい例で学者の論文を考えてみましょう。

 一概には言えませんが、学者の論文の中には、完成までに何十年もかかっているものもあります。

 学者は、膨大な数の実験をこなしたり、自ら調査に赴いたりといった経験をして、「ある結論」を獲得するわけですが、論文にその経験が語られることはありません。

 論文には、「こうするとこうなるので、結論はこうです」としか書かれていないわけです。

 ところが、その論文を読めば、本来は到達するのに数十年かかる「ある結論」を、わずか数時間で理解することが可能です。