注目のエンターテイメント小説『マルチナ、永遠のAI。――AIと仮想通貨時代をどう生きるか』が出版され話題となっている。
実物通貨と仮想通貨、日常と非日常、ヒトとAIの境界線がどんどんなくなりつつある今、私たちはどうやって生きていけばいいのか?
2000年代中盤から「AI」と「IoT」を研究し続けてきた大村氏の特別寄稿「Googleの猫」をお送りする。
(構成・寺田庸二)

2012年にディープラーニングで
猫を認識した「Googleの猫」とは?

 AIの学習方法としてもっとも代表的なものは、第4回第5回連載で説明した「ディープラーニング」です。
 実は、このディープラーニングという手法がいつ誕生したのかは、諸説あって定かではありません。
 2000年代はじめに理論的にはすでに確立していたとする研究者もいますが、結果を示してくれないことには、私たち一般人には、具体的にはどのような技術なのかがわかりません。

 そういう意味では、ディープラーニングが「AIの学習に使える技術」であることをはじめて証明したのはGoogleであると言っても過言ではないでしょう。

 Googleは、2012年に、「人が教えることなく、AIが自発的に猫を認識することに成功した」と発表しました。
 そして、これは世界中のAIの開発者・学者に大きな衝撃を与えました。

 ディープラーニングというのは、膨大なデータと膨大な計算の二本柱がカギを握っています。
 そして、2012年頃にGPU(演算用チップ)といったハード的な技術改革があり、高速な計算が可能なコンピュータが生み出されました。

 言い換えれば、この二本柱がなければ、「Googleの猫」、すなわちディープラーニングという「教師なし学習」で学習したAIが猫を自己認識できることもなかったでしょう。

 では、次ページでこのGoogleの猫について紹介します。