私自身驚いたのは、それがすぐに成果に結びついたことでした。講座に出ていた学生チームが新しい商品やサービスのアイデアを競い合う「EDGE(エッヂ)イノベーション チャレンジ コンペティション2017」(文部科学省補助事業)において優勝したのです。このため、フォーサイトスクールで体系立てた方法論が「実証できた」と感じることができました。これを体系化して世の中に伝えたいと思い、今回、書籍にしてまとめたのです。

――本ではイラストを多用して物語仕立てにしていますね。

平田 はい。そもそも僕たちは、zibaという米オレゴン州に拠点を構えるデザインコンサルティングファームです。これまでデザインを通して数々の新しい価値を生み出してきたのですが、松波さんたちとはここ数年、お仕事でご一緒させてもらう機会が多くありました。

 松波さんたちは行動観察を通じて僕たちと同じように新しい価値を生んできた。お互い違うアプローチながら、バランスがいいなと感じていたのです。

 今回、書籍のお話をいただき、松波さんのお考えを基に、僕がスケッチして物語を通じて伝えていくという方法を取りました。僕自身、教科書にイノベーションが必要だと思っていましたので。

――本自体にも新しい価値を取り入れた、ということでしょうか。

無意識の世界のイラスト
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松波 新しい価値を生むと言っている以上、本自体にも新しい価値を生み出さないと説得力がないと感じていました。

 もともとこの本は、ある会社に所属する主人公たちが組織の壁を突破して新商品・新サービスを開発するというストーリーです。主人公が「無意識の世界」と「現実の世界」とを行ったり来たりするという設定をしています。「不思議の国のアリス」といえば分かりやすいかもしれませんが、無意識の世界で話が展開されるときは背景を黒地にして表現しています。

 他にも、本の帯を使って、本の中に出てくるクイズを解くためのツールにもしています。後ろの方のページを切り取って折り紙をしなければならないといった仕掛けも施しています。

平田 本のカバーを切ってしまうという案もあったのですが、さすがに編集担当者に反対されてしまいました(笑)。