新商品開発は「答え」から考えてはいけない──新たな価値を生む方法論(上)松波晴人氏(左)と平田智彦氏 Photo by Toshiaki Usami

今、日本ではイノベーションを推進する関連部署が増えている。だが、新しい価値を生もうとすると途端にぶつかるのが、その方法論と組織の壁である。この度、大阪ガス行動観察研究所の松波晴人所長が「ザ・ファースト・ペンギンス 新しい価値を生む方法論」(講談社刊行、4月11日発売)を著し、それらの方法論を体系化した。松波氏と、デザインプロデュースしたデザインコンサルティングファームziba tokyoの平田智彦社長とに、その方法論を尋ねた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 小島健志)

帯を使ってクイズを解く仕組みを入れた
イノベーションの方法論を体系化した本

――新著を出すに至る経緯について教えてください。

松波 われわれは行動観察を通じ、新しい価値を生むためのコンサルティングを行ってきました。以前から、企業の方々には「どうやって人をトレーニングしたらいいのか」と尋ねられ、それに対する答えをずっと考えてきました。世の中にはデザイン思考やクリエイティブシンキング、U理論、KJ法など、多くのイノベーションに関する理論はありますが、トレーニング方法などを整備して実際の人材育成につながる方法論にまで落とし込まれたものがほとんどないのです。

 そんな折、2016年から大阪大学で一つの講座を持ちました。それが「新しい価値を生む人材」を育てるための「Foresight School(フォーサイトスクール)」です。ここで、われわれが手掛けてきた1000を超えるプロジェクトから得たノウハウを体系化して、学生に伝えたのです。