「忖度」の意味がわからない外国人は
結局どうやって納得したか?

 しかし、最後に文科省の問題について説明したところで、彼の中での疑問が解消したようだ。

「なんで民間人になった元官僚が中学校で授業をしたことを、中央政府が調査するのか?」

「どうも、国会議員が問題視して調査するように圧力をかけたらしい」

「何が問題なんだ?」

「その元官僚は、政治家に反旗を翻したからだ」

 そこで内閣人事局の話になった。日本の官僚の一番上の600人くらいのポストは、2014年から政治家が決めるルールになった。政治家の意向に沿った動きをする官僚は出世できるし、反対すると退任させられて天下りもままならない。忖度をすることで地位も上がるし、天下りを考えると収入面でもゆうに1億円を超える格差が生まれる。

 英語で言うと「アハ」とか「ガッチャ」という反応になった。日本語で言うと「謎はすべて解けた」みたいな反応である。

「わかったよ。忖度というのは英語で言うと……」と、彼は右目をつぶってみせた。

「イエスマンのことだな。600人のイエスマンに乾杯!」

 そう言って彼は、満足そうに帰国していった。

(百年コンサルティング 鈴木貴博)