東京オリンピックの喧騒が去った2020年、あなたはどんな生活をしているだろうか?
AIによってシンギュラリティは起きるか?ヒト以上にやさしいAIは登場するか?ヒトとAIはどう共存していくのか?
構想・執筆に2年、「愛」がテーマという注目のエンターテイメント小説『マルチナ、永遠のAI。』が話題を呼んでいる。ビットコイン、ブロックチェーン、ディープラーニング……正確な技術論と、その道の世界的権威の見解をもとに緻密に描いた作品で、SFではない、小説風の解説書というから注目だ。
実物通貨と仮想通貨、日常と非日常、ヒトとAIの境界線がどんどんなくなりつつある今、私たちはどうやって生きていけばいいのか?
仮想通貨は苦手というあなたも、これさえ覚えておけば、周囲から尊敬の眼差しを浴びるかもしれない。
2000年代中盤から「AI」と「IoT」を研究し続けてきた大村氏の特別寄稿をお送りする。
(構成・寺田庸二)
マイニングとは、
「ある値」を見つける
「暗号もどきゲーム」
前回の第23回連載では、ブロックチェーンのすべてのブロックに同一の取引履歴が記録されており、この取引履歴のことを「トランザクション」と呼ぶ、と解説しました。
その繰り返しになりますが、ブロックにはすべてのトランザクションが記録されています。
しかし、ブロックの中にはトランザクションだけでなく、「ブロックを生成し、そのブロックをチェーン状につなげるためのデータ」も記録されています。
そのデータこそが、各ブロック固有の「ハッシュ値」です。
なぜハッシュ値なんてデータが必要になるのかはこのあとすぐに解説しますが、このハッシュ値は、「元になるデータを計算処理して得られたデータ」のことです。
そして、この計算処理のことを「ハッシュ関数」と呼びます。
このハッシュ関数には、次の3つの特性があります。
(1)同じデータからは必ず同じデータ(ハッシュ値)が出力される
(2)異なるデータからは必ず異なるデータ(ハッシュ値)が出力される
(3)出力されたデータ(ハッシュ値)からは元のデータを復元することはできない