東京オリンピックの喧騒が去った2020年、あなたはどんな生活をしているだろうか?
AIによってシンギュラリティは起きるか?ヒト以上にやさしいAIは登場するか?ヒトとAIはどう共存していくのか?
構想・執筆に2年、「愛」がテーマという注目のエンターテイメント小説『マルチナ、永遠のAI。』が話題となっている。ビットコイン、ブロックチェーン、ディープラーニング……正確な技術論と、その道の世界的権威の見解をもとに緻密に描いた作品で、SFではない、小説風の解説書というから注目だ。
実物通貨と仮想通貨、日常と非日常、ヒトとAIの境界線がどんどんなくなりつつある今、私たちはどうやって生きていけばいいのか?
仮想通貨は苦手というあなたも、これさえ覚えておけば、周囲から尊敬の眼差しを浴びるかもしれない。
2000年代中盤から「AI」と「IoT」を研究し続けてきた大村氏の特別寄稿をお送りする。
(構成・寺田庸二)

みんなが「信用」していれば、
それはもはや「お金」である

 大ベストセラーとなった『経済ってそういうことだったのか会議』は、「だんご3兄弟」の作詞・プロデュースを手掛けた佐藤雅彦氏のこんな逸話から始まります。

 佐藤氏は小学生の頃、給食の牛乳瓶のフタを集めていました。
 すると、それがちょっとした流行になって、佐藤氏のクラスのみならず一学年のすべてのクラスにフタ集めが伝搬します。

 ついには、フタ10枚で消しゴムと交換できたり、フタ20枚で掃除当番を代わってもらえたりするようになるわけですが、ある生徒が牛乳屋の親戚から何百枚というフタをもらって登校してきた日を境にフタは無価値になり、本来は捨てるべきただのゴミになってしまったそうです。

 この話を聞いた小泉政権時の経済財政政策担当大臣であり経済学者の竹中平蔵氏は、「その話は経済活動のミニチュアモデルと言ってもいい」と答えています。

 さて、この牛乳瓶のフタの話は、貨幣の価値はコミュニティの「信用」によって決まるという「お金」の本質を見事についています。