>>(上)より続く

 同居している夫婦が、同居しながら離婚の話を進め、最後は離婚に至る……。離婚への道のりは、そんなに平坦なものばかりではありません。実際は山あり谷あり、です。あくまで経験則ですが、「同居→別居→離婚」という経緯をたどるケースの方が圧倒的に多い。どちらか一方、もしくは両方が出て行き、そして離婚の話を再開するのです。離婚の話をしているのに、それ以外の時間は平気な顔で寝食を共にする……そんな人は稀です。

「離婚」も「別居」も子どもが
父親を失うことに変わりない

 結論を言うと、夫から離婚を切り出された時点で、妻は「別居」を覚悟しなければならず、また「離婚するパターン」も「離婚せずに別居するパターン」も、子どもにとって『父親を失うこと』に変わりはないので、もはや「子どものため」という理由は成り立たないのです。

 それでは、夫婦が正式に離婚したら、何がどう変わるのでしょうか?「子どもにとって」という視点で話を進めます。

 これまで夫と妻は一緒に住んでいたけれど、離婚後は別々に暮らし、これまで「何かあれば」すぐに電話やメールで連絡をとり合っていたけれど、離婚後は「どうしても」という場合しか連絡をせず、直接会う場面はほとんどないでしょう。また妻(母親)が親権を持ち、子どもを引き取った場合、夫(父親)は子どもに自由に会うことはできず、せいぜい毎月1、2回が限度です。

 離婚前は、夫婦喧嘩の現場を子どもが目撃してしまい、ショックを受けるという悲惨な出来事がたびたび起こっていましたが、離婚後は「元夫婦」同士が面と向かって喧嘩をする確率は相当に低く、さらに子どもがたまたま喧嘩の現場を目的する確率はさらに低いでしょう。

 もし、元夫婦が喧嘩をするとしたら、電話やメールに限られる可能性が高いですが、元夫婦が電話でやり合っている場面に子どもが遭遇したり、子どもが母親の携帯電話を盗み見たりする確率は、もっと低いはずです。万が一、父親と母親の不仲を、離婚後、子どもが目の当たりにしたら多少のショックを受けるでしょうが、「どちらの味方をしたらいいのか」という迷いは生じません。なぜなら、未成年の子どもは親権者なしでは生きていくことができず、事実上「母親の味方をする」という一択しかないのだから。だからこそ、単純明快でストレスは最小限にとどまるのです。

 また離婚前は、夫はもちろん、妻も精神的に不安定なので、子どもにつらく当たって傷つけてしまういう可哀想な出来事がしばしば起こっていましたが、離婚後はどうでしょうか?